ある科学者の朝


彗空さん作

――ある科学者の朝――





「はぁ…。ようやくメカが完成した。」




薄暗いアジトの一つの部屋で頭の右側にミサイルの刺さっている男は呟いた。





部屋には呪文のような言葉やわけのわからない方程式ががたくさん並べられた紙があたり一面に散らばり足の踏み場もない。





「クラッシュ…いつも拙者のメカを破壊しおって…!!今度はそうはいくものか!」



いつも世界征服しようとも正義の味方にボコボコにされ、彼の自慢のメカもあっけなく吹っ飛んでしまう。




そして彼自身も宇宙に吹き飛ばされてしまっている。



そんなことが続いて彼も我慢の限界が来ていた。




そして部屋に籠り続け時間も忘れて完璧なメカを追い求めた。






最後に負けてからどれくらい経ったのだろう。


ついに完成した。






もう弱点なんてどこもないはず。

強さを追い求め、ようやく理想の完璧なメカが完成した。






我に返った彼はどっと疲れが押し寄せてきた。




もう長いことロクに食べてもいなかった。






「死んでしまいそうだ…」



そう思って目を閉じようとした時、




カーテンの隙間から光がさした。




日の光を見るのはいくらぶりだろう…。




彼は日の光が妙に懐かしくなりカーテンを開けた



そこには太陽の光が海に反射し、とても綺麗にキラキラ光っていた。




彼は目を奪われた。




こんな綺麗なものは見たことがない。



自分が部屋に籠っている時も外の世界はこんなにも美しかったのか。




「フッ…外の世界もいいものだな…」





彼は外に出て砂浜を散歩した。





外に出ると部屋の中では味わえない新鮮な空気で溢れている。




風がそよそよと吹き、木がワサワサと音を立てている。





すると彼の前に一枚の葉っぱがヒラヒラと落ちてきた。






彼は止まって葉っぱを手に取り、



「あいつらがあんなに世界を守る気持ちもわからなくもないな…
だがだからと言って負けるわけにはいかない。」






そう言って彼はまた歩き続けた。

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