!CRASH BANDICOOT SHOW!


エフチュウさん作

第6章 ゲーム、開始

手紙はクラッシュ達だけでなく、世界中の人たちにも届いていた。
ここで、クラッシュ達が来る前に来ていた人物達の様子を見てみよう。

「ここは・・・」
「うーん、ステージじゃないですね。劇を見に来たつもりだったのに」
「いや、あの手紙の内容からして・・・劇ではないと思います」
「そうですか。私はてっきり劇かと思って来ちゃいました」
洞窟らしき場所を歩きながら、男性と女性が会話していた。
「へぇ・・・。そういえば自己紹介がまだでしたね。ボクは島陸、医者です」
「私は天嬢塚朝陽です。王族の召使いをしてます」
「召使いですか。ここに来て怒られたりしないんですか?」
「勧められて来たんです。」
朝陽は他の召使いに勧められてやってきたのだった。
だが、好意で勧めたわけではなかった。
「あら、変な手紙が来てますわ」
「招待状?そうだ、あの役立たずに渡したら?」
「それはいい考えね」
役立たずとは、朝陽のことを指していた。
なぜそう言われているかというと、彼女がいつも仕事で失敗を繰り返していたからだった。
「ちょっと、朝陽」
「何ですか?」
「この手紙、朝陽宛で来てたわよ」
その手紙は例の招待状だった。
だが、クラッシュやコルテックス宛に届いたものとは少し違う文で、
ちゃんと本当の日付が書いてあった。
「招待状ですか?」
「えぇ、行ってもいいわよ」
「本当ですか!有難う御座います」
うれしそうに言った後、朝陽はお辞儀をしてその場を去った。
「・・・ふぅ。これでしばらくは役立たずとお別れね」
「まぁただの劇だから、すぐ終わっちゃうけどね」
勿論、そんな嫌味は朝陽には聞こえなかった。
「へぇ。勧められて・・・」
「あたしは面白そうだから来たんだよ〜」
「わっ!誰ですか?」
「いきなり出てきましたね」
「こんにちは〜、あたしはペタって言うんだよ〜。瞬間移動してきたの!」
「しゅ、瞬間移動?」
「瞬間移動ですか、凄いですね!」
驚く陸と、驚く前に感心している朝陽。
「まぁいいや〜、これからよろしくね!」
「はぁ・・・、はい」
「ええ!」
というわけで、3人はどんどん洞窟を進んでいった。
さて、クラッシュたちはあの後どうなったのだろうか。
「う〜〜〜・・・いててて、ここは・・・?」
クラッシュは目覚めると、辺りを見た。
生き生きとした木々が生い茂り、目に優しい緑が一面に広がっている森の中だった。
「あれ?ココやアクアク達がいない・・・?」
どうやら皆とはぐれてしまったらしい。他の人も、同じような状況だった。
「とりあえず、進んでみよう」
クラッシュはそういった後、立ち上がって歩き始めた。
「・・・どこに行けばいいのかな?」

そんなクラッシュたちの様子を、モニター越しに見つめる謎の人物がいた。
「・・・さぁ、もうすぐショーが始まる・・・クク、楽しみだ」
「おっしゃる通りネ・・・master」
「ふん、何が楽しみだ。さっさと潰してしまえばいいものを」
「ククク、まぁそういわずに待ちたまえよ。ククッ、ハハハハ・・・」
謎の3人は不気味な笑みを浮かべていた。
「・・・master。準備が整ったようネ」
「そうか・・・では始めようじゃないか・・・、楽しいショーを・・・」
「yes」
「うむ」
マスターと呼ばれる男は、マイクを手に取り話し始めた。
「やぁ、皆さん。ここに来てくれて有難う」
クラッシュたちのいる場所に声が響いた。
「誰?」
「クク・・・今から貴方達にはゲームを始めてもらいます。簡単なことです。この城の頂上にたどり着ければクリア。クリアした方には素敵なプレゼントを用意しています・・・楽しみにしていますよ」
男の声はしばらくエコーしたが、やがて聞こえなくなった。
「城・・・?」
クラッシュは空を見上げた。
だいぶ向こうに、黒い縦長の城が見える。
「あそこに行けばいいのか」
クラッシュはまた城に向かい歩き始めた。
また、他の人物たちも歩き始める。
これからいったい、何が始まるのだろうか。

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