CRASH RUMBLE OF NEWTANTS


伝説のスーパーロングジャンプさん作

Episode7 Gloomy Cellar

コルテックス基地内のどこかにいると思われるブリオを探すことにしたクラッシュ一行。とりあえず、基地にいたエヌ・トランスとリパー・ルーに訊いてみた。
コルテックス「ブリオはどこかで見かけなかったのか?」
トランス「そう言えば、ここももうじき危ないだろうから地下に逃げるとか言ってたでランス」
クラッシュ「ブリオらしいな」
呑気に笑いながらクラッシュが言う。
コルテックス「ここから地下に逃げるとしたら、あの地下室だろうか・・・」
コルテックスの言う地下室とは、研究の際に出る排水を管理する場所である。排水と言っても、特殊な研究により最早普通の液体ではなくなってしまっている。
排水からは不気味なもやが漂い、下水道は非常に視界が悪い。そんな場所に果たしてブリオはいるのだろうか?
だが、他に当てもないクラッシュ達は、一か八かそこに行ってみることにした。

そこは、想像以上に気味の悪い空間だった。地下室は部屋中に緑黄色のもやが充満していて10メートル先も見えない状態だった。
コルテックス「何だこれは!?どこかの窓が割れているのか・・・?」
部屋に入って辺りを調べてみると、やはり分厚いガラスが大胆に割られていた。ニュータントの仕業だろうか。
ココ「いずれにせよこの先に何かありそうね・・・」
クラッシュ達はさらに奥の扉を開けて先へ進むことにした。すると、やはりそこにはニュータント達が待ち構えていた。
人数が増えたことも手伝ってクラッシュ達は快調にニュータント達を倒していく。
そして、無事ニュータント軍団を全滅させると6人の足は止まった。扉が左右に分かれていたのだ。
ブリオはどちらにいるのだろうか?あるいはどちらにもいないのだろうか?
ココ「・・・ここは二手に分かれて探すってのはどう?」
クラッシュ「いいね♪」
こうして即席で2つの班に分かれることになった。左の扉にはクラッシュ、コルテックス、パプパプ。
右の扉にはココ、リパー・ルー、エヌ・トランスが進むこと決まった。

左の扉を開けると、奥に分厚い扉があった。何故分厚いことが分かったのかというと、既に開いていたからである。
そこからあの緑黄色の気体が大量に入り込んできている。クラッシュは迷わずその扉の先へと進んでいった。すると、ますます視界は悪くなった。
どうやら下水道に出たようだった。近くからはドロドロとした液体がのろのろと流れている音が聞こえてくるのが分かる。得体の知れない悪臭も漂っている。
思わずクラッシュは突きでた鼻を曲げて顔をしかめる。
クラッシュ「うげ〜・・・この部屋臭うよ〜」
コルテックス「ずベこべ言うな。さっさと行くぞ」
その時、緑黄の液体が流れる水路から何かが浮かび上がってきた。浮かび上がってくると同時に、それは気味の悪いうめき声をあげた。
クラッシュ達はその声に気がつき後ろを振り返る。すると、何と水路からはカメレオンとカエルの合成生物"スラッジ"が数体上がり込んで来た。
コルテックス「新手か!」
クラッシュ「オイラが行くッ!」
そう言ってクラッシュは、スラッジの一体にスピンアタックを仕掛けた。しかし、スラッジは身体をアメーバのように変形させてクラッシュの攻撃を避けた。
そればかりか、そのまま地面を這いずり、クラッシュの後ろに回り込んでしまった。
クラッシュ「何ッ!?」
後ろを振り向いたころには既に遅かった。スラッジはアメーバ状態から急に腕を伸ばし、クラッシュに強烈なアッパーを繰り出した。
その攻撃はクラッシュの顎に命中し、クラッシュは吹っ飛んでしまった。その先にはさらに数体のスラッジが囲んでいる。
パプパプ「まずいパプ!」
パプパプが杖でスラッジを攻撃しようとする。すると、スラッジは振り向いてパプパプにも腕を伸ばしてきた。
パプパプはそれを杖で止めようとしたが、何とスラッジの腕は杖をすり抜けてパプパプの腹に当たってしまった。
パプパプ「ッッ!!?」
腹には異様な不快感と痛みが疼いている。クラッシュもスラッジ達に囲まれ劣勢を強いられている。
コルテックス「厄介な敵だ・・・」
そう言いながらもコルテックスの銃は確信を持ったかのようにスラッジに向いている。
コルテックス「だが弱点は分かっている」
そう言ってコルテックスはスラッジの腹にホーミング弾を撃ちこんだ。すると、スラッジは奇妙なうめき声をあげながら腹をおさえた。
この隙にパプパプは杖でスラッジの頭を思い切り叩き、ついにスラッジを気絶させた。そして、パプパプは古代語らしき呪文を唱え、スラッジに古代魔法をかけた。
すると、パプパプはスラッジの身体の中に入り鎧のように操った。そして、ピンチのクラッシュの所へ向かう。
ここでパプパプ操るスラッジは、一気に腹の中から溜めるような仕草を見せた。かと思うと、口から何かへどろのような液体を勢いよく吐きだした。
スラッジは蛇口をめいいっぱいに捻り出したような勢いでそれを吐き出したまま敵に向かっていく。何秒間吐き出し続けていたのだろうか。
あまりいい画とは言えなかった。それが終わったころには、敵のスラッジは全滅していた。そこで、パプパプはスラッジの身体から飛び出した。
パプパプ「パプゥ〜・・・下品なニュータントパプ」
コルテックス「お前も人の事は言えんがな」
そんなことを言い始めたら、ここに居る全員がそうではないか。ココが見ていたら、きっとそんなことを言っただろう。
クラッシュ「ふぅ〜・・・助かったよ」
クラッシュはそこでようやく立ち上がった。
パプパプ「怪我してるパプ」
見ると、確かにクラッシュの腕には傷があった。
クラッシュ「ああ、これくらい平気さッ」
その台詞はまるで強がっている子供のようだ。
クラッシュ「それよりも、早くブリオを見つけよう」
2人は頷いて、再び下水道の奥を目指した。

ココが右側の扉を開いたのは、その数分前の事だった。その扉の奥にはやはり下水道が見える。
ここの分厚い扉も既に開いていたのである。相変わらず視界も悪い。途中、何度かニュータントが襲ってきたが、何とかその場を切り抜けることができた。
そして、しばらく先へ進んでいると、右手に大きな穴を見つけた。
ココ「あら?あれは何?」
トランス「こんな穴、俺は知らないでランスよ?」
リパー・ルー「アチキも見覚えがないねェ〜・・・誰かが強引に開けたものじゃないかにょ〜?」
確かに、穴の形は整っていない。奥を覗いてみると、かなり奥まで続いているようだ。
さらに気になったのは、辺りを漂っている緑黄色の気体がその穴に向かって吸い込まれるように流れていることだった。
ココ「・・・もしかしてこの穴は外のどこかに繋がってるんじゃない?」
ココ達は、その穴の中へ進んでいくことにした。しばらくすると、ココの頭上から何か鋭い音が聞こえてきた。
何と、コウモリとナイフの合成生物"バットラー"が急降下して突っ込んできたのだ。
よく見るとリパー・ルー、エヌ・トランスの頭上からもバットラーが迫ってきている。
バットラーは刃物のような(というより刃物そのものである)翼をちらつかせて、そのままココ達を攻撃しようとする。
ココ「危ない避けてッ!」
いち早くそれに気付いたココがそう叫んで、3人は何とかその攻撃をかわした。
トランス「おのれ!これでも喰らうランス!」
そう言って、エヌ・トランスは避けた勢いで身体を横にし、ゴロゴロと転がった。バットラーはまさかの反撃に反応が遅れ、1体が気絶してしまった。
エヌ・トランスは素早く起き上りバットラーに催眠をかけてその背中に乗った。そのまま操られたバットラーは何やら翼をはためかせ始めた。
そして、何とバットラーは翼を勢いよく振って無数の竜巻を起こした。他のバットラーはその竜巻に巻き込まれて倒れてしまった。
トランス「さ、いくでランス」

ウウウゥゥゥ・・・
しばらく下水道を進んでいくと、どこからともなく不思議な音が聞こえてくる。地下だからなのか妙に響いて聞こえてくるのだ。
クラッシュ「何この音?」
コルテックス「気味が悪いな・・・」
皆一様に訝しげな表情を見せる。
パプパプ「奥から聞こえてくるパプ」
さらに足を進めていくと、確かにパプパプの言うとおり、その音の正体が判明した。ブリオがいたのだ。泣いている。
奇妙な音も足を進めるごとにそれらしく聞こえてくる。最初は奇妙に思っていたが、すするような泣き方は何ともブリオらしく滑稽に思えてきた。
彼は下水道の隅っこでちょこんと体操座りをしていじけるように泣いていたのだ。その姿はまさにブリオそのものを体現しているようだった。
と、ここで彼はようやくクラッシュ達に気付いたようだ。
ブリオ「おお!あなた達は!ワタシを助けに来てくれたのですか!?」
コルテックス「半分当たっているが、半分はずれている。ワシらはお前を助けに来ただけじゃない。むしろお前に助けを求めたいのだ」
ブリオ「ふぇ?」
コルテックスは例によってこれまでの状況を説明した。ブリオは要求を快諾した。1人でいるよりは大勢でいた方が得だとふんだのだろう。
クラッシュ「それじゃ、ココ達と合流しなくっちゃね」
クラッシュは意気揚々と言った。しかしこの後、クラッシュ達は思ってもみなかった光景を目にすることになる。
ココ「助けて・・・お兄ちゃん・・・」

続く

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