クラッシュ・ウェスタン


リボルバーさん作

OPENING

「やっぱりうまい!!」
「全く、昼間だぞ・・・仕事しろよ」
薄暗い場所で2人の男が会話をしていた。
「マスター、仕事があったらこんなことしてないよ」
「保安官なんだろ。せめて見回り位しろよ」
「客に向かって何だその口調は?」
「毎回後で払うといってりんごジュースを飲んでいる奴が客だと?」
「ちゃんと払うから。いつか」
「・・・アップルシェリフ」
「誰が林檎保安官だ!」
突然扉が開いた。
「お兄ちゃん!やっぱりここにいたのね!」
「ココ、どうしたんだ?」
「万屋のリラ・ルーさんと鉄加工屋のディンゴダイルさんが喧嘩しているの!」
「なんだ・・・いつかやめるだろ」
「それが2人とも決闘だといって銃撃戦をするらしいの!」
「それは大変だ!止めに行かないと!2人はどこにいるんだ?」
「運び屋タイニーの前よ!」
「分かった!マスター、こんなことだから行ってくるよ!」
「待て!金払え!」
保安官クラッシュは外に飛び出した。
持ち前の運動神経を生かし、ものすごい速さで運び屋の前まで走った。
「着いた・・・」
運び屋の前ではリラ・ルーとディンゴダイルが口喧嘩をしていた。
「アンさんの作る銃はめっちゃ高いねん!こっちは全くもうけがでえへんねや!」
「そんなことしらねえよ!おれっちの作る銃はそれだけの値段がしてもいいものなんだよ!」
「どんだけええもんでもな、安くなかったら誰も買わんねん!そこらへん分かってまっか?」
「もともとてめぇが高けえ値段で売るからいけねえんだろ!」
「もうええわ!銃を抜け!」
「望むところだ!」
2人は腰からSAAを取り出した。
「撃ち合いとかするな!」
「誰や!?」
「誰だ!?」
「私はこの町唯一で最強の保安官クラ・・・」
「仕事もろくにせえへん奴は黙っててくれるか!」
「何でてめぇに指図されないといけないんだよ!」
2人はクラッシュをおもいっきり尻尾でたたいた。
「うわ〜〜〜!!!」
クラッシュは吹き飛ばされて運び屋の店の中にはいってしまった。
「いてててて!!」
ガッシャ〜〜ン!!!
クラッシュは店の中に積んであった荷物を倒してしまった。
「あ!何してる!?」
「げ・・・」
店の奥から大きな男が出てきた。
「保安官!!何してる!!」
「後で話すよ!タイニー」
クラッシュは起き上がって2人を止めに行こうとした。
「二人とも!喧嘩はやめて!」
ココが2人を止めていた。
「2人で一緒に働いてきた親友なんでしょ。それなのにお金のことで喧嘩なんて・・・」
「う・・・それもそうやな・・・」
「そうだな・・・悪かったな、リラ・ルー」
「こっちも悪かったわ、ディンゴダイル!」
2人はSAAを腰にしまって抱き合った。
「一件落着だな!」
クラッシュは拍手をしながらそう言った。
「何が一件落着だ!!この荷物どうする!?」
後ろではタイニータイガーが叫んでいた。
「どうするって?片付けたらいいじゃん」
「保安官!タイニーと手伝え!!」
「お兄ちゃん・・・」
「保安官も何やってんねん・・・」
「全く・・・ダメダメ保安官だな」
ココ、リラ・ルー、ディンゴはその場を去った。
「保安官!とっととやれ!そして配達して来い!」
「何でそこまでしないといけないんだ!」
「荷物に傷が入ってすみませんでしたと言って来い!!」
タイニーとクラッシュは荷物を片付けた。
「ちょっと待っててよ・・・荷物運ぶものもってくる」
クラッシュはそういって店を出た。
クラッシュは自宅に戻った。
「お帰り、クラッシュ」
「兄ちゃん、いっつも宝石運んでいるリアカーどこ?」
「表にあるで。それよりなんでそんなん使うんや?」
「大人の事情だ・・・」
「わてかて大人やで!」
クラッシュはクロックの言葉を無視してリアカーをとりに行った。
クラッシュはリアカーを見つけた後それをガタガタ引いて店まで行った。
「戻ってきたか!さあ運んで来い!」
タイニーは荷物をリアカーに乗っけてクラッシュに地図を渡した。
「いってきまーす・・・」
まずクラッシュは町一番の大きな家に行った。
「すみませーん。お届けものでーす」
大きな扉がゆっくりと開いた。
「どーも・・・って保安官さんじゃないですか」
「村長さん、これはいろいろあって・・・」
クラッシュはアーネストに事情を話した。
「気合が入っているのはいいですけど、怪我しないでくださいよ」
「村長さんはいっつも優しいですね・・・ありがとうございます」
クラッシュは荷物を渡した。
「・・・傷ついてますか?」
「・・・中身はワインだったようで、ビンが割れてます・・・」
「すみませんでした!!」
クラッシュはその場から逃げるように立ち去った。
重たいリアカーを引きながらクラッシュは次の配達場所を目指した。
クラッシュは次の目的地である集合住宅地に向かった。
集合住宅地といっても一軒家がずらっと並んでいるだけである。
クラッシュは近いところからどんどん荷物を届けていくことにした。
「お届け物でーす!」
中から黒い色の犬が出てきた。
「どうも・・・ん?保安官じゃねえか」
「いろいろあってこんなことしてるんですよ。ビロードさん」
「どーでもいいけどな。とにかく荷物渡せ」
クラッシュはビロードに荷物を渡した。
「来た来た。注文しておいた新しいスタームルガーだ!」
「傷とかついてないですよね?」
ビロードは荷物をあけた後クラッシュのほうを見た。
「てめえ、この銃壊れてるじゃねえか!!この野郎!!」
「すみませ〜ん!自分で修理出しに行ってください!」
クラッシュは急いで次の家に行った。
「お届け物でーす」
ドアを開けて出てきたのは美青年だった。
「ごくろうさん・・・お、保安官じゃねえか」
「いろいろあってね」
「保安官はいっぱい仕事があっていですね」
「・・・サトリ、荷物」
クラッシュは乱暴に南に荷物を渡した。
「お仕事お疲れ様〜」
「・・・」
クラッシュはまた荷物を届け始めた。
次の目的地は町にひとつしかない宿だった。
クラッシュは宿に入り、部屋のひとつをノックした。
「お届け物です」
中からバンディクーが出てきた。
「保安官・・・宅配の仕事か?」
「そうですよ、ダルヴさん」
「とっとと荷物を渡せ」
クラッシュはダルヴに荷物を渡した。
「それでは」
「待て、荷物に傷が・・・」
クラッシュはさっさと運び屋に戻ろうとした。
「ちょっと待て」
突然誰かに呼び止められた。
クラッシュは後ろを振り返った。巨大なセイウチが包丁を持って立っていた。
「な、な、何ですかウォーラスさん!?」
「いや・・・実は予約客が一人いるんだけどな、なかなか来ないんだよ」
「客ですか!こんなところに客がくるんだ・・・」
「アン!?」
「なんでもないですよ!」
二人が会話をしていると宿の扉が開いた。
「いらっしゃいませ」
綺麗な少女が立っていた。
「予約されたお客様でしょうか?」
「・・・」
その少女は宿屋のカウンターの予約リストのひとつの名前を指差した。
「・・・ザジ・レリエルさんですか。お部屋に案内します」
「・・・」
ザジは一言も喋らぬまま部屋に向かった。
「・・・帰ろう」
クラッシュは運び屋に戻ってタイニーに仕事が終わったことを伝えた。
「よし、もう帰っていいぞ!!」
クラッシュは家に戻った。
「疲れたなあ・・・」
「クラッシュ、リアカーどこや?」
「表に置いといた。また発掘作業しに行くの?」
「そうや。今日こそは宝石ザックザク掘って来るからな!」
「そんなこと毎日言っているけど、一回も見つかったこと無いじゃん」
「うるさいわ!」
クロックは乱暴にドアを開けて外に出て行った。

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