クラッシュ・ウェスタン


リボルバーさん作

第三章

「カンパ〜イ!!」
酒屋にみんなの声が響いた。
クランチが勝利記念に酒屋の物全品無料で出してくれると言ったので町民全員が集まっていた。
しかもウォーラスが自費で料理を作ってくれるとも言った。
クラッシュはココとクロックと一緒にご飯を食べていた。
「クラッシュ、お疲れ様やな!」
「お兄ちゃん、お疲れ様!」
クラッシュは二人の声を無視してりんご料理をがっついていた。
他の町民もいろんな場所で飲み食いをしていた。
ふと、酒屋に美しい楽器の音が響いた。
みんなは顔を上げ、音のするほうを見た。
ザジがストラディバリウスを弾いていたのだ。
その美しい音色に全員はうっとりしていた。
演奏が終わった後、酒屋は拍手の音が響いた。
ココがザジに近寄ってこういった。
「あなた、楽器を弾くのが上手いのね。感動しちゃった」
「・・・ありがとう」
みんなはまた飲食を始めた。カウンターではポトリゲスが何人かに話をしていた。クラッシュもその話を聞くために近くにいった。
「いやぁ。保安官はすごかったぜ。何だって、俺様が殺されかけていた所を銃を使わず助けてくれたんだからな」
クラッシュは少し照れてしまった。
「みんなを守るのがおいらの仕事だから〜。当然のことだよ〜。でへへ」
その話を聞いていたビロードがクラッシュを見た。
「お前、すごいな!銃を使わないでよくポトルーズを追っ払えたな!で、どうやって奴らを倒したんだ?」
ポトリゲスはすぐにこう言った。
「酒屋の樽だぜ。良くこれを使うという発想が思いついたもんだな」
リサは感激の眼差しでクラッシュを見た。
「保安官さんすごい!!頭がいいのね!!」
しかしその話を聞いていたダルヴがこう言った。
「なあ、その樽の中身はどうしたんだ?」
クラッシュは困ったような表情をした。さらに南がこう言った。
「その樽の中身はりんごジュースだったようだな」
クラッシュは急いで立ち上がった。
「お、おいらトイレに行ってくる」
クラッシュはそうはき捨てて酒屋から出て行った。
クラッシュはもう酒屋には戻ってはいけないと思った。
とりあえずクラッシュはりんご畑に行くことにした。
広大な土地にたくさんのりんごの木が生えている姿はまさに圧巻・・・と思ったが夜だったので何も見えなかった。
クラッシュは横になって空を見上げた。たくさんの星がきらきらと輝いていた。
「あれは・・・何座かな?」
クラッシュは星座探しに夢中になっていた。
ふと遠くから何かの爆発音が聞こえた。
クラッシュは飛び起きて音の方向を向き、走っていった。
その向きは酒屋の方向だった。クラッシュは嫌な予感がした。
酒屋に着いた瞬間、クラッシュは呆然とした。酒屋が燃えていたのだ。
「お前ら!こいつら全員捕まえろ!!」
そう誰かが叫んだ。クラッシュはその声がピンストライプだと分かった。
酒屋は完全に炎に包まれ、どこからも入ることができず、クラッシュはどうすることもできなかった。
バン!!酒屋の壁が壊れ、何人かの住民が出てきた。その中にはクロックもいた。
「兄ちゃん!!大丈夫か!?」
「クラッシュ!!あいつら、酒屋に火を放って・・・」
「とりあえず、まだ中に生存者は!?」
「まだ何人もの人が残されてるんや!しかも中でポトルーズと戦ってる奴もおる!」
「分かった!兄ちゃん、酒屋から出てきた人たちを助けてやってくれ!」
「おう!」
クロックはそういって外に出てきた住民たちの元へ行った。
クラッシュは壊れた壁から中に入った。ピンストライプが目の前にいた。
「おやおや、保安官じゃないか。よくもさっきは・・・ま、これが本当の作戦なんだけどな」
中には大量のポトルーズたちと、縄で縛られた住民、そしてザジ、ビロード、南、リサ、ダルヴが床の上でぐったりとしていた。縄で縛られた住民の中にはココとポトリゲス、クランチやタイニー、ディンゴにリラ・ルーもいた。
「お前ら、そいつらを外に出しとけ!俺は他の奴らの処理に取り掛かる」
ポトルーズの手下達は住民たちを担ぎ、壁を爆弾で破壊し、外に出て行った。ピンストライプはそれを確認した後クラッシュの方を向いた。
「お前らは俺の部下を少なくとも40人以上殺したんだ。その借りは返させてもらうぞ!!!」
ピンストライプはシカゴタイプライターを乱射し始めた。クラッシュはカウンターの裏に隠れた。
「隠れても無駄だぞ?ほら!」
ピンストライプは火で燃えた梁を撃った。梁が落ち、カウンターに直撃した。クラッシュは何とか避けれたが炎に囲まれてしまった。
「保安官、もうお前もおしまいだ」
ピンストライプが勝ち誇った顔でクラッシュを見た。
しかしクラッシュは落ち着いた表情でSAAを構えた。
「保安官、お前みたいな奴がシングルアクションアーミーを使ってるのか?雑魚のくせに・・・宝の持ち腐れだな」
クラッシュは一発SAAを放ったがピンストライプはさっと避けた。
「SAAは弾速が遅い。ちゃんと撃たないといけないぞ〜」
しかしその一発は壁に当たって跳ね返り、ピンストライプの背中に当たった。ピンストライプはゆっくりと倒れていった。
「油断しすぎだよ〜」
クラッシュは火の力が小さい所から抜け出した。
「おい、みんな大丈夫!?」
クラッシュは床に倒れている者たちを担いでいった。その時、クロックと住民たちが入ってきた。
「わても手伝うわ」
みんなで担いで酒屋から出た。
「クラッシュ、ピンストライプはどうするんや?」
「ほっとけ。もう少ししたら焼肉になってるさ」
クラッシュは最後の一人を担いで外に出ようとした。
酒屋に巨大な銃声が聞こえた。
クラッシュはクロックに担いでいた者を渡し、銃声のした方を向いた。クロックたちは村長の家に向かっていった。
「保安官、まさか俺が無防備でこんな所に来たと思ったか?甘いぞ!!」
ピンストライプがスーツを脱いで立っていた。防弾チョッキを着ていたのだ。
クラッシュは再びSAAを構え、一発撃ちはなった。
しかしピンストライプはS&W M500を撃ち、その弾丸を撃ち落してしまった。
「この弾丸が当たれば、お前の体にでっかい穴が開くぜ・・・」
ピンストライプは再び引き金を引いた、が銃弾は発射されなかった。
「ピンストライプ!弾詰まりとは運が無いね」
「・・・フン」
ピンストライプはシカゴタイプライターに構え直し、弾を撃ちはなった。
「フハハハハハハハハハハハハァァァ!!!!!!!!!!!」
クラッシュは急いで外に出た。しかし外にはポトルーズの手下たちがいた。
手下の一人がクラッシュに近づいた。
「心配するな。リーダーを迎えに来ただけだから」
そう言って思いっきりスコーピオンでクラッシュを殴った。
クラッシュは目の前が真っ暗になった。

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