クラッシュ・ウェスタン


リボルバーさん作

第四章

朝、アップルタウンの住民たちは酒屋の消火活動をしていた。
鎮火後、クロックは必死にクラッシュを探した。
「クラッシュ!どこにおるんや!?」
他の住民たちもクラッシュを探した。
クロックが何かを見つけた。
「これは・・・手紙か?」
クロックはその手紙を読み始めた。

無能な住民たちへ

お前たちの馬鹿保安官、クラッシュバンディクーと他の住民たちは連れ去らせてもらったよ。
今日の午後六時、彼らを奴隷として売却する。
それが嫌なら俺たちの屋敷にくるんだな。ま、奴隷が増えるだけだろうけどな。

ピンストライプより

クロックは住民たちを呼び集め、この手紙を見せた。
「みんな!今日あいつらの屋敷に行かんと・・・」
クロックは焦った口調で喋った。
「そうだな。今日中に住民たちを連れ帰れないといけないな」
ビロードが落ち着いた口調で喋った。
「私は行きます。これ以上争いが起きない為にも・・・」
ザジはそういった。
「俺は行きたくねえな」
南がそういった。
「もともと俺は此処の住民じゃないんだし、勝手にやれば?俺には関係ねぇから」
リサも話し合いに参加した。
「わ、私は平和主義なので〜、今回は行かないわよ」
「俺は行くぜ」
ダルヴがゆっくりと話した。
「じゃあ今回はわて合わせて4人か・・・ちょっと厳しいで」
クロック、ザジ、ビロード、ダルヴは出発のための準備をすることにした。
ビロードは村長に付近の地図をもらい、それを他の3人に見せた。
「此処からポトルーズの屋敷まで約10キロ。かなりの長旅となるな。武器以外にも食料もそれなりに用意しないといけないぞ。準備が終わったら門に集合だ」
ビロードはそう言ってどこかに行った。他の者たちも次々とどこかに行った。
数分後、門に4人が集まった。
クロックはリアカーを引いていた。
「食料とかはここに乗せといてくれ。わてが運ぶから」
みんなは食料を乗せた。
太陽が高くなり始めたころ、4人は街を去った。
ゆっくり、そして確実に4人は荒野を進んでいった。
太陽がじりじりと照りつける。遠くには蜃気楼が発生していた。
4人は水を口に含み汗だくになりながら進んだ。
数時間後、ザジが声を発した。
「豪邸が見える・・・」
ザジはある方向を指差した。うっすらと家らしきものが見えた。
クロックはリアカーを止め、食料を渡していった。
「ここで飯は済ましておこか」
四人は持ってきた食料を少量食べ、水を飲んだ。
そしてクロックはシカゴタイプライターを構え、ザジはケースからチャーターアームズを取り出し、ビロードはスタームルガーに弾を装填し、ダルヴは剣を鞘から抜いた。
四人は敵がいないか警戒しながら屋敷に近づいていった。
いきなりザジがチャーターアームズを撃ちはなった。
「ギャアーーー!!」
断末魔とともに屋敷の上からポトルーズの手下が落ちてきた。
「もう近くに敵はいないと思います」
ザジがそう呟いた。
四人は屋敷の玄関に着いた。
ダルヴが剣で扉を切り開いた。
「やあやあ。アップルタウンの住民たちよ。わが屋敷にようこそ」
四人は声のした方向を見た。ピンストライプが立っていた。
「早速おもてなしといこうか」
ピンストライプの声とともに手下たちが四人を囲んだ。
「保安官の囚われている所まで行ったら住民たちを解放してやろう。一つ注意を言っとくなら、この屋敷は広いから迷わないことだな」
ピンストライプはそう言ってどこかに去ってしまった。
四人は手下たちをさっさと片付けた。
「どうする?」
クロックが三人に問いかけた。
「そうだな。別に単独行動でいいだろ。ほら、此処に四つ扉があるし」
ビロードがそう返答し、扉を指差した。
四人は別々の扉に入っていった。
「何やここ・・・」
クロックは扉の中に入った瞬間呆然と立ち尽くした。
一本の廊下が果てしなく奥まで続いており、両側の壁には無数の扉がついていた。
クロックはとりあえず近くの扉に入った。
「・・・嘘やろ・・・」
その扉の中はさっきと全く同じ風景が目の前に広がっていた。
クロックは深いため息をついてまた違う扉に入った。やはりさっきと同じ風景だった。
「はあ・・・」
クロックは様々な扉に入っていった。そして確実に迷っていった。

「・・・何ここ?」
ザジは扉の中に入った瞬間呆然と立ち尽くした。
そこは一切障害物の無い異常に広いホールで、一階から三階まであった。ザジはすぐに数人の敵がいることを察知した。
上を見ると三階部分にポトルーズがいた。
ザジはすぐにチャーターアームズを撃ち、そいつを倒した。
しかしすぐに別の場所から銃弾が飛んできた。ザジは間一髪で避けれた。
ザジは一匹ずつ確実に敵を倒しつつ出口を探した。

「これは・・・」
ビロードは扉の中に入った瞬間呆然と立ち尽くした。
そこは障害物が異常に多い細い道が続いていた。
いきなりどこかから銃弾が飛んできた。ビロードはさっと避け、障害物に隠れた。
しかし敵は壁に銃弾を当て、銃弾は跳ね返ってビロードの方に向かってきた。
「あぶねえな!」
ビロードは何とか避け、敵がいると思われる障害物の裏に銃弾が行くように壁を撃った。
銃弾が発射され、壁にぶつかった。
敵の断末魔が聞こえた。
「ふう・・・」
ビロードは更に先に進んだ。

「何だこれ・・・」
ダルヴは扉の中に入った瞬間呆然と立ち尽くした。
そこには様々な植物が生い茂っている風景が広がっていた。
前方は蔓で塞がっていたので剣で切り開き、ゆっくりと進んでいった。
一方クラッシュは屋敷の地下にある牢獄の中にいた。
「腹減ったよ・・・」
クラッシュはそう呟きながら床の上に転がった。
「調子はどうだい?」
ポトルーズの部下の一人がクラッシュに近づいた。
「とりあえず飯をくれ」
「ほらよ」
ポトルーズの部下の一人は腐ったりんごを投げ入れた。
「こんなもんいらねえよ!」
クラッシュはりんごを思いっきりぶつけた。
「いて!やったなぁ〜!」
ポトルーズの部下の一人がクラッシュにスコーピオンの銃口を向けた。
「ちょ、貴重な捕虜を撃ち殺していいのか!?」
「お前は他の奴らを此処に呼ぶためにつれてきたもんだ。もう此処に他の奴らが来た以上、お前に用はない。死ねぇ!!!!」
ポトルーズの部下の一人はスコーピオンの引き金を引こうとしたその時、
「動くな・・・」
何者かの声が聞こえた。どうやらポトルーズの部下の一人の頭に銃をつけているらしい。
「どういうつもりだ・・・」
ポトルーズの部下の一人は冷静にそう言った。
「捕虜を撃ち殺すことなんかしていいのか?大事な売り物なんだろ?それにそいつは俺たちの仲間なんだよ。な、保安官?」
クラッシュはその声の主が分かった。
「南か!?」
「やっと分かったか。保安官」
南はそう呟き、銃で思いっきりポトルーズの部下の一人の頭を殴った。そいつは床に倒れこんでぐったりとした。
「南、一人か?」
「いや、リサさんもいる」
南の後ろからリサが出てきた。
「無事だったのね、良かった・・・」
リサはほっとした表情でそう言った。
「他には?」
クラッシュの質問に対し、南が冷静に答えた。
「俺たちより先にクロック、ザジさん、ビロードさん、ダルヴさんが此処に向かったんだが・・・まだ来てないか?」
「ああ」
「この屋敷で遊んでるんだろうな・・・」
「南、とりあえずここから出してくれ」
南は扉の南京錠に鍵を差した。扉はゆっくりと開いた。
「ありがとう!さ、食料庫に行こう」
「全く・・・」
南はあきれた表情をし、どこかに行ってしまった。
クラッシュはリサに近づいた。
「リサさんはこれからどうするんですか?」
「とりあえずあなたの武器を回収するために武器庫に行きましょう。あなたも丸裸の状態じゃ、何もできないでしょ?」
「あ・・・」
クラッシュは今になって自分の状態に気づいた。パンツしかはいてなかったのだ。
「ハート柄のパンツはいてるのね・・・悪趣味」
「別に何柄のパンツはいててもいいだろ!」
クラッシュは顔を真っ赤にさせて叫んだ。
「とにかく武器庫に行くわよ。早く!」
「でも武器庫ってどこなのさ?」
「探せばいいじゃない」
「この格好で!?」
「此処で死にたいのかぁ!?」
「分かったよ・・・」
クラッシュはリサの口調が一気に変わったことに恐怖を抱きながらもリサの後をついていくことにした。
2人は階段を上がり、近くの扉に入った。そこにはたくさんの障害物があった。
「なんなの此処・・・」
リサが呟いた。
「ちょっと待て、銃声が聞こえるぞ」
クラッシュは周りを警戒しながらそう言った。
銃声はだんだんと大きくなっていく。それにつれて何者かの叫び声も聞こえる。
バン!!クラッシュの足元に銃弾が飛んできた。
「ウワ!」
クラッシュは何とか避けた。
「こ、この声は保安官か!?」
どこかで聞いたことのある声がした。
「もしかして、ビロードさん!?」
「そうだ!俺だ!」
向こうからビロードが走ってきた。
「保安官、大丈夫だったのか!」
「うん。サトリとリサさんが助けてくれて」
「南とリサさんが?」
2人の会話にリサが入ってきた。
「そうなの、あなたたちの後に私と南さんで此処に来たの」
「そうだったんですか・・・とにかく他の奴らを探そう!」
ビロードがそう言った瞬間、巨大な銃声が聞こえた。
「これはこれは。保安官が脱獄していたとはな」
声のするほうを見るとピンストライプが立っていた。
「ピンストライプ!他の住民たちを返しやがれ!」
ビロードが叫んだ。
「まあそうせかすな。それよりも君たちにショーを見せたいと思う」
ピンストライプがニヤニヤしながらそう言った。
「ショー?」
クラッシュが問いかけた。
「場所は此処の屋上だよ。開催時間は決めてないが、早く来ることだな」
ピンストライプはそう言ってどこかに去った。
「ビロードさん、リサさん!早く屋上に行きましょう!」
クラッシュが叫んだ。
「保安官、そんな姿でショーを見に行くのか?」
どこかから南の声が聞こえた。
「サトリ、どこだ?」
いきなりクラッシュの目の前にサトリが落ちてきた。
「ほら、保安官の服とシングルアクションアーミーだ」
南がクラッシュに装備を渡した。
「ありがとう」
クラッシュはそういって服を着た。
「あと、リサさん、探してたワルサーだ」
南はリサに銀色のワルサーを投げた。
「ありがとう」
リサがそういって腰のホルスターにワルサーをしまった。
「他の奴らはどうしたんだ・・・」
ビロードが不安そうな声でそう言った。
「屋上で合流できるかもしれないから早く行こう!」
クラッシュの声とともにみんなは屋上に向かった。
数分後、クラッシュ達は屋上に着いた。
「保安官たち!ショーはもう始まってるぜ」
ピンストライプの声が聞こえた。クラッシュ達はその方向を見た。
ポトリゲスが台に立たされている。よく見るとその首にはロープが巻きつけられている。
「ピンストライプ!一体何をする気だ!?」
クラッシュが叫んだ。
「我々の伝統的な行事だよ。ポトルーズ内では裏切り者は捕まえて絞首刑にするんだ」
ピンストライプがニヤニヤしながらそう答えた。
「命を奪うことがショーだと?ふざけるな!」
クラッシュはポトリゲスの元に走り寄ろうとしたがピンストライプに蹴り飛ばされた。
「この台に近づくな!おい、お前ら!始めろ!」
ポトルーズの手下たちがポトリゲスの乗った台を外そうとした。
その瞬間、何者かの影が通り過ぎた。
「何だ?」
ピンストライプがそう思い、台の方を見た。
ポトリゲスを結んでいたロープは切れ、手下たちがぐったりと倒れていた。
「間に合ってよかったぜ」
ピンストライプは再び声のするほうを見た。その方向にはダルヴが剣を持って立っていた。
「クソ、そこから脱出できたとは中々の奴だ・・・」
ピンストライプが呟いた。
「俺だけじゃないぞ」
ダルヴはそう言って後ろを向いた。そこにはクロック、ザジが立っていた。
「お前ら、やるな・・・」
ピンストライプがそう言った。
クロック、ザジ、ダルヴはクラッシュたちの下に行った。
その瞬間、ピンストライプがシカゴタイプライターを構えて乱射し、叫んだ。
「だが、本当のショーはここからだ!!」
クラッシュ達は物陰に隠れた。
「俺が奴の気をそらしてる間にお前らはここから逃げろ。」
ビロードが呟いた。
「何を言ってるんですか!」
クラッシュが叫んだ。
「いいか。俺が奴の目の前に出る。そうしたら奴は俺を狙って撃ってくるだろう。その隙にお前たちはそこの階段を下りて住民たちを探し出し、何とかしてこの屋敷から脱出しろ。いいな」
ビロードがそう言って、ピンストライプの前に出て行った。
「お前の悪事にはうんざりだ。俺がお前を倒す!」
ビロードが叫んだ。
「ふん、一対一か。いいだろう」
ピンストライプはシカゴタイプライターをしまい、S&W M500を取り出した。
その間にクラッシュ達は階段を下りていった・・・はずだった。
「ビロードさん!俺も戦うよ!」
クラッシュがビロードの元に近づいた。
「全く・・・わがままな奴だな・・・」
ビロードが呆れた表情で呟いた。
「二対一か・・・」
ピンストライプがそう言った瞬間S&W M500をクラッシュに向けて撃った。
「クラッシュ、危ない!」
ビロードはクラッシュの前に出た。
「グハ!」
ビロードはもろに弾丸に直撃した。
「愚か者が・・・」
ピンストライプがそう言って立ち去った。
「ビロードさん、大丈夫ですか!?」
クラッシュがビロードの所に行った。
「この野郎・・・世話かけやがって・・・」
ビロードが小さな声で呟いた。
「ビロードさん!」
「いいか、これ以上犠牲者を増やすな・・・」
ビロードはゆっくりと目蓋を閉じた。
「ビロードさん、ビロードさ〜〜〜ん!」
クラッシュは息が止まったビロードを地面に置いた。
「クラッシュ!何してるねん!?」
クロックが遠くから呼んでいる。クラッシュは涙を流しながらその方向に向かった。
「クラッシュ、何で泣いてるねん?」
「ビロードさんが、ビロードさんがぁ・・・」
クロックは大体予想ができた。
「そうか・・・とりあえず、住民たちはみんな避難した。後はワテとお前だけが脱出したらええねん。帰ったらビロードさんのお葬式を上げようや。何か形見持って行ってやろう」
クロックはビロードの元に近づき、ブラックホークを取り出した。
「行くぞ」
クロックは階段を下りていった。その後を追うようにしてクラッシュも降りていった。
「兄ちゃん」
「何や?」
「ココは無事か?」
「ああ、みんなと先に帰ってるはずや」
クロックとクラッシュは屋敷の玄関にたどり着いた。玄関の扉を開けようとしたその時、銃弾が扉に向かって飛んできた。
「この屋敷から簡単に出られると思ったら大間違いだ」
ピンストライプが2階から見下ろしていた。
「ピンストライプ!」
「クラッシュ、相手にするな。とっとと出るぞ」
クロックは扉を開けようとした。だが扉は開かなかった。
「そこの鍵は閉めておいた。鍵ならここにあるぞ」
ピンストライプはクラッシュとクロックに鍵を見せ付けた。
「クソ・・・兄ちゃんどうする?」
「ワテにまかしとき」
クロックはシカゴタイプライターを取り出し、ピンストライプに向けた。その瞬間、何者かがクラッシュたちの前を通り過ぎ、2階まで跳んでいった。
「誰だ?・・・グバ!!」
その何者かはピンストライプに思いっきり蹴りを入れていた。
「やりやがったな・・・」
2階から激しい殴り合いの音が聞こえる。
「お兄ちゃん、鍵よ!」
何者かがクラッシュの方向に鍵を投げてきた。
「もしかして・・・ココ!?」
「お兄ちゃんたち、早く鍵を開けて!」
クラッシュは言われるままに鍵を開けた。
ココが二階から飛び降りてきた。
「ココ、大丈夫?」
「ええ、ピンストライプの奴、のびちゃったわ」
「ココ・・・先に帰れっていったやん」
「お兄ちゃんたちが心配だったの。さ、早く帰りましょ」
クラッシュ、クロック、ココは屋敷から抜け出した。

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