ワルワルスクールデイズ


伝説のスーパーロングジャンプさん作

第3章

午前8時、空は相変わらず禍々しい雲に覆われている。ニーナ達は食堂で朝食を食べた後、寮部屋で授業の準備をしていた。
カトリーヌ「あ、そーいえばさ〜何か昨日転校生が来たらしいよ」
ニーナ「ええ?珍しいわねぇこの学校に・・・(ってか情報早っ)」
カトリーヌ「何でもその人トレジャーハンターとかでぇ〜お宝探しに此処来たんだけど校長先生に生徒にされたんだって」
ニーナ「・・・いつも思うんだけどさぁアンタ現場でも見てたの?」
カトリーヌ「い〜やあたしの情報網」
ニーナ「アンタの情報網一体どうなってんの・・・」
カトリーヌ「それは秘密」
ニーナ「・・・それでその人はどこのクラス?」
カトリーヌ「何か今探索機械技術学んでる6年生の機械科学クラスに入ったって」
ニーナ「へぇ〜いきなり6年生ねぇ・・・」
カトリーヌ「ねぇどんな人か見に行かな〜い?」
ニーナ「う〜んそうねぇ・・・」
2人の会話は止むことなく寮部屋を後にした。そして、2人は廊下を歩いていると、ニーナはどこからか不気味な音がしているのに気がついた。
ニーナ「?ねぇ、何か変な音してない?」
カトリーヌ「え?」
2人は耳を澄ませてその音を聞き取ろうとした。
グォォォオオオオオ・・・
獣の息のような、蛇が地面を気味悪く這うようなその音は廊下の下から聞こえていた。しかし今ニーナ達がいる廊下は1階だ。となると、音は地下から出ていることになる。
ニーナ「地下に何かあるの?」
カトリーヌ「地下には大きなボイラー室があるけど・・・最近熱帯鮫の水槽の調子が悪いとかで修理してんのかもよ?」
ニーナ「へぇ〜随分働き者ね」

一方、クロックは早めに機械科学準備室に着いていた。そこには、昨日の見山卓士が授業の準備をしていた。
見山「おお、来てくれたかクロック」
クロック「はい」
見山「それじゃ授業が始まったら皆に紹介するからついて来てくれ」
その時、調度チャイムが鳴り響いた。
見山「おっと、じゃ、いくか」
そして、2人はいよいよ教室に入った。2人が入っても生徒達はあまり変わる様子もなく隣の者とちらほら喋ったりしている。
見山「ハイ静かに!これから授業を始める・・・前に新しい生徒の紹介をしたいと思う」
生徒「ざわざわ・・・」
皆がざわつくのも自然なことだ。なぜならこの10年来、このワルワルスクールには転校生など1人もいなかったからだ。
フラップ「ん?あいつ・・・どっかで見たような・・・」
見山「名前はクロックバンディクーだ。彼はトレジャーハンターで宝石を探しにここに来ている。それで、彼が宝石を探す間生徒として皆と一緒に授業に参加することに
なった。皆もぜひ協力してやってくれ」
フラップ「あーーーーーッ!!お前ッ・・・何でこんなとこに!?」
クロック「あ、フラップ。お前生徒だったのか」
見山「何だ?知り合いがいたのか・・・割と早く馴染めそうじゃないか。良かったな。調度席もフラップの隣だぞ」
クロックはゆっくりとフラップの隣の席まで行き、腰かけた。このフラップ・ウルフはクロックやムートの幼馴染だ。
フラップ「お前・・・何で来たんだよ?」
クロック「さっき先生が言ったまんまだ。それよりムートは教師なのに・・・お前は何で生徒なんだ?」
フラップ「う、うるせぇっ!」
見山「それじゃ授業の方を始めるぞ!今日は金属を探索するための装置を作るぞ!教科書の156ページを開け!」
威勢よく声を張りながら、2つに分かれた大きな黒板の上下を入れ替えた。そして、素早く授業の内容を大雑把に力強く書き始めた。この時点で、最早一般人には
ついてこれないようなレベルのことが次々と書かれていく。
見山「いいか?この装置はただ金属かどうかを見分けるだけではない。何の種類の金属かが瞬時に分かるものだ。この仕組みを1から説明していくと・・・」
クロック(成程・・・これは本職にも使えそうだな・・・)
クロックもいきなり6年生の授業を受けているにもかかわらず、スラスラ理解していった。こうして黒板の板書と、見山の熱いトーンの説明は流れるように凄まじい
スピードで進行していった。生徒達も必要なところは素早くノートを取っている。それでもクロックは何とか授業についっていった。そして、授業が30分程経過した
ところでいよいよ金属探知機を作ることになった。
見山「じゃ、今説明したとおりに作ってみろ」
クロックもさまざまな部品を組み立て、ち密な作業を次々とこなしていった。
見山「お、クロックも結構手先が器用だな」
フラップ「フン、こいつは昔からそうですよ」
見山「そうか。そう言うフラップもよくできてるぞ」
フラップ「べ、別に褒められても嬉しくねぇからな!」
クロック(あ、こいつツンデレ治ってない・・・)
そうこうしているうちに、クロック達は金属探知機を完成させた。と、その時ちょうど授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
見山「おっと、終わりか・・・じゃ、次の時間は早速外に出て金属を探索してみよう。ということで、次の時間は校庭に集合だ。いいな?」

クロックはとりあえず教室を出ることにした。何故かフラップもついてきた。まぁ、幼馴染だし不自然でもないか。
フラップ「しっかしお前は相変わらず飲み込み早いな」
クロック「まぁね」
フラップ「それより・・・あの話、本当なのか?」
クロック「何が?」
フラップ「とぼけるな。お宝の話だよ」
クロック「ああ、アレね。本当だよ」
クロックはあっけなく言った。すると、前からムートがやって来た。
ムート「やぁクロック。授業は結構ついていけてたようだな」
クロック「何で分かったんだ?」
それを聞いてムートは、おもむろにポケットからビデオカメラのような物を取り出した。
ムート「お前の授業の様子を見てたんだよ」
クロック「そんなに僕が心配か?」
ムート「あとお前のクラスにジェシカちゃんいるだろ?可愛いんだこれがまた・・・」
クロック&フラップ「気持ち悪いんだよこのスケベ犬が!!」
2人はムートに思いっきり蹴りを入れ、激しく突っ込んだ。
ムート「ぐふっ・・・そんなことをしてもこのビデオはやらんぞ・・・」
クロック&フラップ「いるかーッ!」

一方、中庭の木の陰には実はまだクロックの授業を覗き見ている者達がいた。
ナット「・・・見えたか?」
ニーナ「ってか何でアンタまでいんの」
ナット「いいじゃねぇか。カトリーヌの情報ほど面白いもんは中々ねぇからな」
カトリーヌ「思ってたよりいい男じゃない?」
ニーナ「う〜んでもあいつどっかで見たことあるような顔ねぇ・・・」

そして、30分の休憩を挟んでの2時間目。クロック達は、見山に言われたとおりさっき完成させた金属探知機を持って校庭に集合していた。そこに見山が来たところで
調度チャイムが校内中に鳴り響いた。
見山「んじゃ早速金属を探すぞ。まずは電源を入れるんだ。ついでにクロックの探しているという宝石も探してやってくれ」
生徒達は一斉に電源を入れ、金属を探し始めた。
見山「どうだ。これで少しは手間が省けるんじゃないのか」
クロック「でも、僕の探している宝石は金属製ではないんですよ」
見山「ほぅ、じゃあダイヤモンドみたいなものか?」
クロック「まぁそんなところです。ダイヤより遥かに貴重なものですがね・・・」
そんなことを言ったが、実はクロックが此処に来た理由は他にあった。
見山「そうか、さすがはトレジャーハンターと言ったところか。で、それはなんていう宝石なんだ?」
クロック「パワーダイヤという超高エネルギーを持った貴重なダイヤです」
見山「成程・・・」
それでも、一応金属探知機で辺りを探してみるクロック達。ダイヤまではいかなくても、なにか役にたちそうな素材は見つかりそうだ。すると、早速金属探知機が反応した。
クロック「おっ、あの木の陰から反応が・・・」
その木の陰に近づいていくと・・・
ムート「やーばれちゃったか・・・実はこのカメラチタン合金製・・・」
クロック「もういいー!つーかお前は仕事をしろッ!!」
クロックはムートに勢いよく飛び蹴りをかました。
ムート「ぐふぁっ・・・」
こうして、クロックはさっさとムートを仕事へ送り出して、金属を探すことにした。すると、近くでフラップの金属探知機が何かに反応したようで、クロックにこう話し
かけてきた。
フラップ「おいクロック、手伝ってくれ。この下にレアメタルがあるぞ」
そう言って、どこからか大きなドリルを持ってきた。とりあえずクロックは、フラップを手伝うことにした。2人はドリルの取っ手を片方ずつしっかり握って、フラップの
合図でスイッチを入れた。すると、ドリル特有の不快な騒音とともに、2人の腕に激しい衝撃が駆け抜けてきた。まるで細胞という細胞が腕中を暴れ回っているかのような
錯覚を覚えるほどの強い反動だ。2人がそんな衝撃を10秒間程味わっていると、ドリルはあっという間に100メートル程まで掘り進んでいた。フラップはようやく
スイッチを止めたが、ドリルはまだ名残惜しそうに少しだけ回転してから、やがて力つきたように動きが止まった。ドリルの動きは止まったが、クロック達の腕はまだ
あの衝撃の感覚が抜けていない。
クロック「おいこれ・・・反動でかすぎやろ・・・」
フラップ「仕方ないだろ。たった10秒でここまで掘れるドリルが他にあるか?」
そう言いながら、フラップは地面を見て目的の金属を確認した。それに対してクロックは上を見て言った。
クロック「いや、それにしたって他の方法があったろ。ここからどうやって出るつもりだ?」
フラップ「・・・さっき言ったろ?手伝ってくれ、と」
クロック「・・・お前は・・・」
フラップはレアメタルの回収を済ませ、用意していたロープを取り出してクロックと自分をしっかりと結んだ。
フラップ「さぁ、トレジャーハンターの実力を見せて貰おうじゃねぇか」
クロック「ったく、しょうがないなぁ・・・」
クロックはフラップを抱えながら壁に向かってジャンプし、さらにその壁を蹴って向かいの壁に跳び、またさらにその壁を蹴り・・・という動作を繰り返して上へ上へと
上っていった。トレジャーハンターではこういうシチュエーションも多いため、クロックは慣れた様子でトントンと進んでいった。そして何とか穴から脱出した2人は、
レアメタルの確認をすることにした。
フラップ「これはマガリウム。金属の中でも、かなり柔らかく且つ頑丈で延性も大きく、最も加工しやすい金属と言われている。」
※もちろんそんな金属は存在しません(笑)
クロック「へぇ、それは使えそうだな」
フラップ「じゃあ・・・お前、持ってけよ」
フラップが照れ気味にそう言った。
クロック「あぁ、そう。ありがとな」
フラップ「べ、別にアレだぞ?お礼とかそういう意味じゃないからな!」
クロック「ハイハイ、分かってるよ」

一方、さすがに授業に戻っていたニーナ達は薬剤科学の授業・・・のはずだったが教師が不在のため自習になっていた。自習と言っても生徒達は特に何もすることがないので
周りの友達と話したりしていた。
ニーナ「ってこれじゃ授業に戻った意味ないわね」
ナット「また転校生見に行くか?」
ニーナ「いや、もう飽きたわ」
そんな会話をしていると、やっと教師が入って来た。ムート・ドッグだ。何故かところどころに傷があるが、ムートは何事もなかったかのように何食わぬ顔で入って来た。
カトリーヌ「あ、伯爵」
ムート「いやー遅れてスマンな・・・じゃ、授業を始めるぞ」
というわけで、ニーナ達は20分程遅れて授業が始まった。今回の授業は、有機物をあっという間に溶かす強力な毒液をつくる実験だ。
ムート「よし皆、それじゃまず薬剤調合の比率の復習だ」
そう言って、黒板に見慣れない物質の比率を書き出し、生徒達に確認をとってから調合の実験を始めた。
ムート「いいか?今回の実験はかなり危険だ。うっかりこぼしたりするんじゃないぞ。特にシド!」
ニーナ「伯爵ー、もう既にこぼしてます」
ムート「何ーッ!?」
ムートは思わずズッコけてしまった。急いでその様子を見てみると、いくつかの薬剤の入ったフラスコを床に落としてしまっていた。幸いまだ調合する前だったので、
毒液の毒性はそれほど強くはなかった。シドはムートに頭を下げるばかりだ。
ムート「まったく・・・じゃあゴム手袋して雑巾で床を拭け」
カトリーヌ「シドにやらせていいんですか?」
ムート「ああ・・・そうか。ニーナにナット、あとカトリーヌ。お前達が拭いてやれ」
ニーナ「ったくとことん面倒くさい奴ね・・・」
シドはニーナ達が床を拭き終わるまで俯いて黙りこくっていた。そして、床を拭き終わりニーナ達もようやく実験を始めた。シドが自重してくれたおかげでその後は実験も
順調に進み、程よく余裕が出てきたところでニーナ達が雑談をし始める。それはカトリーヌが突然口を開いたことで始まった。
カトリーヌ「あ、そーいえば明日からミス・ワルワルスクールの出場者募集が始まるみたいよ」
ナット「あーそっか!今年やるのかアレ」
すると、突然ニーナ達の会話にムートが飛び込んできた。
ムート「あーそうだなぁ。ワルワルスクールで一番盛り上がるんだよなぁミス・ワルワルスクール・・・楽しみだなぁ〜エッへへへ・・・」
シド「うぉっ・・・何か伯爵が話に入って来た・・・」
ナット「ったく変態伯爵が・・・」
カトリーヌはムートが介入してきたことを全く気にせずに話を続けた。
カトリーヌ「アタシ、ニーナの名前出すことにしたから(笑)」
ニーナ「ちょっ、本気なの!?」
ナット「へぇ〜そりゃ見ものだな」
ニーナ「そしたら・・・アンタの名前も入れてやるからね!」
カトリーヌ「え〜お好きにどうぞ♪」
ニーナ「この野郎・・・いつか嫌な思いさせてやる・・・」
と、そんなことを言いつつも密かにちょっと気合いを入れるニーナなのであった。
次章、いよいよミス・ワルワルスクール開催!・・・予定。

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