fight&fly


フレインさん作

第1話 〜驚き〜

氷山ラボの周りは冷たくさわやかな空だ。
太陽からの針が何本も地面に刺さる。
そのまぶしいばかりの光は、コルテックスの個人部屋にも届いた。
それが窓から入ってきても、コルテックスの気分は毛ほどもよくならなかった。むしろ沈んだ気持ちにトドメを刺した。
コルテックスは心底滅入っていた。
理由はもちろん、また失敗したからだ。
ウカウカには今回は絶対に成功すると自信満々に言い切ったのでこっぴどく説教されるのは目に見えていた。
おまけに成功すると決め付けて、エヌ・トロピーを無能呼ばわりしたので目も当てられない。
落ちる気分がもう無いほど落ち込んでいた。
いつも命令してばかりのウカウカを憎んだ。
ことごとく野望を打ち砕くクラッシュを恨んだ。
誤作動を起こしたエヴォルヴォレイを呪った。
そしてクラッシュに毎回毎回勝てない自分や部下を怨んだ。
今回は成功するはずだった。絶対に。
なのに負けた。もう無理かもしれないという考えが頭にもたげた。
ワインを一気にあおった。これで七杯目だ。
そんな時、ベルがけたたましくなった。
会議五分前を知らせるベルだ。
いつもわずらわしく思うその音が、今日は一層そう思えた。
当然行きたくないが、こんなときに遅刻でもしようものなら何をされるかわかっていた。
コルテックスは千鳥足で会議場へ向かった。

コルテックスが会議場に入ると熊のような男がこちらを射抜いた。
「あんら、られら(あんた、誰だ)?」
まだ頭が回らない。ろれつの怪しい口調で言う。
エヌ・トロピーは露骨にあきれた顔をし、そばにいたエヌ・ジンはその強烈な口臭に顔をしかめたが、熊は気にしていないようだ。
「Mr.ネオ・コルテックス?私はアメリカ合衆国特殊部隊隊長エドウィン・ブレイズだ」
ほとんど抑揚の無い声だ。
コルテックスの意識が瞬時に頭に戻った。
「なんだって!?アメリカ…何?」
「アメリカ合衆国特殊部隊隊長。大統領の命令でここにきた」

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