fight&fly


フレインさん作

第10話 〜直接対決〜

光線がうなりをあげて耳を掠める。
アーネストは水爆拳を放つ。
クランチ「……………………」
ココ「…………………………」
アーネスト「………」
クラッシュ「あの〜、水爆拳って?」
クランチ「……………………そういえば」
アーネスト「ああ、これも特訓の成果だよ」
クランチ「害虫駆除のための?」
アーネスト「悪を懲らしめるための」
クラッシュ「………………………………」
クランチ「…………………………………」
ココ「………………………………………」
クラッシュとココの沈黙はそんな特訓でこんな能力がつくわけがないと突っ込みたくても突っ込めない、というもの。
クランチの沈黙はそれも無理もないと思ったものだった。
あの光線銃は実際かなり痛いのだ。
まさに世界の終わりのような痛み。
当たっただけで気絶するほど。
さらにアーネストはコルテックスにパワークリスタルを強奪された。
そのふたつがコルテックスへの怒りを駆り立てたのだろう。
アーネストがついに手から水爆拳を放った。


コルテックスはアーネストの手から放たれたものを見て再び腰を抜かしかけた。
惚れ惚れするような技、とはよく言ったものだがまさにそんなものだった。
きらめく炎。迫力ある轟音。
だが、あいにくコルテックスにはそれに惚れ惚れしている余裕はなかった。
それは自分にまっすぐ向かっているのだ。
これに当たったら、今度こそやられる、と直感が警報を発した。
そしてそれはぎりぎりで避けたところで確信に変わった。
服の袖が焼けた。
服の「N」の字が「\」に変わった。
残り少ない希望の少しがくすぶった。
もともと無い血の気がさらに引いたのを感じた。
呆然とした。
進化したとはいえ、エミューがこんなことをできるだろうか。
前を見ると、クラッシュ、ココ、クランチも馬鹿みたいに口をあんぐりとあけていた。
炎は自分を掠めたあと、後ろの木を燃やした。
あわてて光線銃のダイヤルを回す―――――――――一番ダメージの大きいものに。
反動がかなり大きいが気にしていられない。
引き金を引いた。
光線銃がパワーをためはじめた。


コルテックスが銃を放つと同時に後ろに吹っ飛ばされ、木に激突した。
それと同時に銃が自分に向かってくる。
アーネストはとっさに避けた。
…避けようとした。
が、銃も軌道を変え、再び自分に向かってきた。
コルテックス「む…無駄だ…。それ…に…は…追尾機能が…ある…」
背中をしたたか打ちつけたコルテックスが息切れ切れに、しかしニヤリと笑いながら言った。
もうその緑の物体はすぐ近くに迫ってきていた。
アーネスト「う、うわああああああああああ!!!!!」
……………………………………………。
意識が吹っ飛びそうになった。
かなりの痛みだった。
しかし、そんなときに頭に浮かぶのはやはりあいつの顔だった。
こんなことで負けるわけには行かない。
自分に言い聞かせる。
こんなことで…。
アーネストは立ち上がった。

コルテックスは再び立ち上がったとき、アーネストがしっかり立っているのを見て三度腰を抜かしかけた。
あれをくらったら必ず気を失うのだ。
どんなものでも。
アーネストは、化けた。
そう実感した。
しかし、なぜ?
コルテックスには思いつかなかった。
アーネストが自分の前に立った。
1対1で対峙する形になった。

クラッシュ「アーネスト、一人で戦うなんて無茶だ!いくらコルテックスでも…」
アーネスト「みんなは下がってて。これは僕の問題だから」
クランチ「どういうことだ…?」
アーネストの憑かれたような顔に憂いが帯びた。
アーネスト「こいつは…僕の親友…カーリー・クウォールを殺したんだ」
静かに言った。
静寂が訪れた。

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