fight&fly


フレインさん作

第11話 〜あふれる想い〜

やり場のない怒り。
どうしようもない悲しみ。
片時も頭から離れなかった親友のむごい遺体。
親友を失った自分がやるべきことは復讐。
あの時から変わらない、信念に近いものを再確認する。
目の前のハゲ頭が親友を殺した。
殺したのだ。
自分がやるべきことは復讐。
再度自分に言い聞かせた。
あれから多くの感情が自分の内部からあふれ出た。
悲しみ、寂しさ、怒り、憎悪―――――――そして、無力。
自分は復讐しかできないのだ。
アーネストは何十回も、何百回も、何千回も、自分の無力さを思い知った。
ならば自分ができる精一杯のことをしよう。
アーネストは自分の体に鞭打ち、壮絶な修行をしてきた。
そう、この日のためだけに。


ココは憑かれたような顔のアーネストをまじまじと見つめた。
アーネストの目には、いままで決して見たことがないものが浮かんでいた。
悲しげに濡れた瞳、そしてその奥に燃え盛る炎。
アーネストが激憤しているのは一目瞭然だ。
思えば、今日コルテックスの話が出てから様子がおかしかった。
口ガ汚イ。
普段のアーネストからは想像もしなかった言葉が次々と、当然のように発せられた。
極め付けには、コルテックスのことを「ハゲ」呼ばわりしたのだ。
今日のアーネストは誰にも止められない。
この暴走をとめられる者などいるはずがない――――――。


アーネストの手から炎が飛び出した。
コルテックスの光線銃からも光線が飛ぶ。
光線は、いとも簡単に炎に弾かれた。
炎は雨風のなか、その勢いを緩めずにコルテックスへ一直線に向かっていった。
コルテックスはあわてて逃げた。
炎は先ほどコルテックスが打ち付けた木に命中。
30秒後、木は灰と化した。
再び炎。
今度はすばやく周りを飛び、4方向から放たれた。
もはやコルテックスに逃げ場などなかった。
炎がすさまじい力で自分を押したのを感じた。
意識の飛ぶような痛み。
今日は、まったくついていない…。
まさにそのとおりだった。
炎に押された勢いで、後ろに倒れこんだ。
その後ろには―――――――穴。
コルテックスは落下した。
岩のように。

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