fight&fly


フレインさん作

第12話 〜罪〜

水にたたきつけられ、息が詰まった。
「目には目を、だ」
上から容赦ない声が聞こえた。
その声の持ち主は、考えるまでも無く、この自分に親友を殺されたと言い張る者。
親友を殺された?
心当たりが無いわけではない。
むしろありすぎた。
自分は今まで多くの命を犠牲にした。
こんな目にあったのは二度目だ。
自責の念を感じないわけではなかった。
特に最近は。
自分は命令に従っているまでのこと。
どうして自分ばかりがこんな目に…。
自分は徹底的についていない。
そのとき、思いもよらぬ音に思考を中断された。
上を見上げてハッとした。
地上の光がまったく見えない。
ふさがれた。
血の気がうせた。


クランチ「この岩、中に入らないじゃないか」
黒ずんだ岩は、穴の上部から突き出ている岩によってそこに固定された。
クラッシュ「本当にこれでいいのか?」
アーネスト「ああ。あいつに罪を思い知らせてやるんだ」
クラッシュは口を開きかけ、閉じた。
アーネストの顔は今までにない表情をしていた。
ココ「で、カーリーって誰なの?なんでコルテックスに殺されたの?」
アーネストは視線を泳がせた。
思い出したくないのだろうか。
やがて、重い口を開いた。
アーネスト「カーリーは僕の昔からの親友で…」


そうだ、テレポート…。
コルテックスは数年前、自分で開発したテレポートする機械の存在を忘れかけていた。
それを使えば脱出できる…!
希望が湧いた。
結果として、その希望は2秒後にはすでに跡形も無く消えていた。
無い。
さっき落としたのだろう。
希望が絶望に変わった瞬間。
これは夢だ。
夢に違いない。
本物の自分は、きっとすやすやと寝ているはず…。
水の刺すような冷たさは、その無駄な妄想をかっさらって行った。
無線機で助けを………呼べない。
落としてしまった。
コルテックス「ハ…ハハ…」
思わず笑いがこぼれた。
コルテックス「ワハハハフフハハフフハハハハハハフフフフハフハ!」
笑うしかない状況、という典型的な例。
もはや笑うしかなかった。


エドウィン「どうした」
あわてた様子のエヌ・ジンに向かってエドウィンが聞いた。
ジン「コルテックス殿が…どこにもいないのです…」
ディンゴ「奴らにやられたんじゃねえの?情けねえなあ」
鼻に薄笑いを浮かべる。
ジン「じゃあ貴様は奴らに勝ったことがあるのか?」
ディンゴ「………」
エドウィン「いくぞ」
ジン「は?」
エドウィン「作戦実行だ」
そういいながらも、レバーを引き始めた。

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