fight&fly


フレインさん作

最終話 〜自分が与えた苦しみ〜

「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ…ひゃ…ひ…ヒヒヒヒヒ…」
笑いすぎて声が枯れてくると同時に、むなしさがこみ上げる。
笑い声も似たようなものでむなしく穴――――封印された――――中でむなしく反響する。
自分はいままで、あまりに笑わなかった気がする。
体に無数の針を突き立てる水。
悪寒が走る。
それが寒さのせいなのか、恐怖のせいなのかはわからない。どうでもいい。
反響する自分の狂ったような声を聞く。
強風が吹いていようといまいと、隕石作戦は成功しなかったのだ。
どうして自分は、こうもついていないのだろう…。


ジン「目標を確認しました」
エヌ・ジンがやはりスーパー双眼鏡を覗いて言うとエドウィンは、どこから持ってきたのか、ミサイル発射台を用意した。
エドウィン「ミサイルに目標を記憶させろ」
エヌ・ジンは飛行船の2時間作り上げた、物体に物事を記憶させる、OMD―――物体記憶装置―――をセットする。
そんなものはエヌ・ジンにしかできない技術。
どうしてもともと追尾式なのにこれを使わないといけないかというと、今の世界の技術だと精度がかなり低く、目標に当たる確率が低いからだ、と、エドウィンの供述。
ジン「目標をセット」
エドウィン「よし、発射するぞ」
ヘルファイアミサイルEXが、飛行船の下部から放たれた。
ものすごい音を出し、確実に目標に――ココに――近づいた。


クラッシュ「お、流れ星だ!……りんごが食べられますように、りんごが食べられますように、りんごが…」
クランチ「バカ、この天気で星なんか…あれ、ホントだ…」
あいかわらずの嵐の中で、それは空を落ちていった。
…いや、こっちに落ちている気がする。
ココ「嫌な予感しかしないわ…」
ココにはコルテックスが…否、その仲間が何かを仕掛けてきたとしか見えなかった。
クランチ「おい…あれ、ミサイルじゃないか」
アーネスト「ミサイルなんかメじゃない!」
ココ「普通に怖いと思うけど…ってこんなことしてる場合じゃないわ!逃げるわよ!」
とにもかくにもココたちは逃げ出した。
その間にも、落下物はぐんぐんココに近づいていった。
クラッシュ「ま…間に合わない…」
もうそれは20メートルと離れていなかった。
速すぎる!
不思議なことに、それはココを追い回しているようだった。
と、地面に置かれた、黒ずんだ岩が目に入った。
ココ「あの岩の後ろに隠れましょう!」
ココたちは穴をふさいだ岩にあたふた隠れた。
最後のアーネストが後ろについたとたん、ついに岩にそれが到達した。
爆発音は、まさに世界の終わりのような音だった。
耳をつんざき、麻痺した。
さらに、衝撃波も信じられないものだった。
クラッシュ、ココ、クランチ、アーネストは後ろに吹っ飛んだ。
岩はというと…………。
木っ端微塵に砕け散った。
岩は跡形もなく無くなった。
かに見えた。
破片が下へ―――――穴の中へ落ちていった。
4人はその様子を呆然と見つめた。



コルテックスは、穴の底から、岩がバラバラになったのを見て恐怖を感じた。
乾いた笑い声も自然に止まった。
体中に、いままで感じたことの無い悪寒が走った。
岩の破片は……………剃刀並みに鋭利だった。
このままでは……。
どこかに隠れる場所が無いか、必死に探した。
あるわけが無かった。あるところを除いて。
が、コルテックスはまったく気づかなかった。
気づいたときにはもう遅かった。
水にもぐればいいのだ…この考えがひらめいたとたん、始まった。
ここからはすべてがスローモーションだ…。
破片の雨。
とがった物体が容赦なくコルテックスに降り注ぐ。
それはコルテックスの体のあちこちを切っていった……。
そして…。
そのひとつが、コルテックスの胸に突き刺さった。
自分がいままで動物に与えていた苦痛は、これほどまでだったのか…。
ネオ・コルテックスは、生まれて一番、後悔した。
世界が、視界が、すべてが暗転した。

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