fight&fly


フレインさん作

エピローグ 〜南極の空〜

クラッシュ「帰ろうか…」
誰に言うとも無く言った。
3人は無言でうなずいた。
ぬかる土を一歩一歩踏みしめ、家を目指した。


「結局さあ、カーリーって誰なの?それと、ミサイルはココだけを追ってた気がするんだけど、お前、なにかしたの?」
家に着くなり口火を切ったのはクラッシュ。
まずアーネストが答えた。
アーネスト「カーリーは僕の昔からの親友さ。昔からよく遊んだんだ。狩りをしたり、日光浴したり…」
親友の話をしているアーネストの顔は、うれしそうで、とても穏やかだった。
アーネスト「でも…ある日…カーリーが得体の知らない怪物に襲われたんだ。僕が気づいたときには、もう遅かった…」
顔が豹変し、こわばった表情になった。
クランチ「でも、それとコルテックスと何の関係があるんだ?」
アーネスト「あるさ。Nの字があったから、コルテックスがつくった奴に決まってる…」
静寂。
アーネスト「僕は…あいつを救えなかった…!親友だったのに…!」
重苦しい雰囲気に包まれたのは何秒間だったか。
そんな空気をぶち壊しにするのは、やはりクラッシュ。
クラッシュ「で、ココは何をしたんだ?」
クランチ「お前、少しくらい空気読めよ…」
クラッシュは当惑顔。その様子を見る限り、本当に天然なようだ。
ココ「…まあいいわ、私、十数年前にアメリカに行ってたじゃない?そのときに、合衆国の機密情報を暗号化したものを解いちゃったみたいなのね。私は面白い暗号だと思ってといたんだけど。まあそれをアレした結果ナニしたわけで…」
クラッシュ「ワケワカランヨ」
ココ「とにかく!私は暗号を解いちゃったのよ!…何よその疑ってる顔は」
クランチ「要するに、今日の一連の結果はすべてお前のせいなんだな?」
ココ「…言い方が気に障るけどそういうこと。あのミサイルに、確かに合衆国のロゴがあったから、きっとアメリカの軍隊がかかわっているんだと思うわ」
クランチ「…まあ、みんな無事だからいっか!よーし、クラッシュ!今日は飲むぞ!」
ココ「飲むものが無いんだけどね…」
嵐はまだまだ続くようだ。


ニーナ・コルテックスは、氷の上に横たわる、変わり果てた叔父を見つめた。
ふいに涙があふれる。
必死に我慢する。
それは何も感情を押し殺そうとしているのではない。
今涙をこぼすと目が凍り付いてしまうからだ。
ニーナはそう思った。
あれからはすべてぼんやりとした夢のようだった。
穴の中の叔父を引き上げ……飛行船へ押し込み……氷山ラボへ戻り……氷に穴を掘った。
叔父を抱きしめる。
もうすっかり冷たくなっていて、思わず涙に負けそうになった。
「バイバイ…叔父さん……!」
最後にそうつぶやいた。
穴の中へそっと横たえる。
上から雪を乗せた。
叔父の姿が雪に掻き消された。
タスマニアと違い、素晴らしい空だった。
ニーナは暮れなずむ空を呆然と見上げた。
陽が沈む。

 〜完〜 次作へ続く…

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