狼の死後「異常な日常」


フレインさん作

第3話 〜寒空〜

クラッシュ「……………クランチ」
クランチ「…何だよ」
クラッシュ「ああああああ!!クランチの上に岩が!」
クランチ「…アホか」
クラッシュ「……………チッ」
クランチ「…………………………」
クラッシュ「………ココ」
ココ「何よ」
クラッシュ「この家を造ったとき、どうやって造ったんだっけ?」
ココ「自分で考えなさい」
雨は降り続く。
この寒さの中で、元気でいられたのはクラッシュだけ。
クランチ「クラッシュ…」
クラッシュ「何?」
クランチ「はやく造ってくれよ…」
クラッシュ「なら手伝えよ!」
クランチにクラッシュを手伝う元気はない。
クラッシュ「ココ」
ココ「何よ」
クラッシュ「あそこに何かの部品があるよ」
ココ「それはお兄ちゃんが壊した私のワープマシンよ」
クラッシュ「………………………チッ」
クラッシュはここから逃げ出そうとしてばかりで作業が進まない。
クランチ「……クラッシュ」
クラッシュ「何?」
クランチ「あそこにリンゴがあるぞ」
クラッシュ「どどどどどどどどどどこだああああああああ!!」
クランチ「おおおいいい!待てえええぇぇぇぇぇ!」
クラッシュはリンゴと聞くやすぐに飛んでいった。
クランチの、家を造り終えたらリンゴをやる、というリンゴ釣り作戦はみごとに失敗に終わった。
リンゴなんて何処にもないのに。


ココ「クランチ」
存在しないリンゴ探しにクラッシュが去っていくのを見送り、ココが言った。
クランチ「何だ?」
ココ「どう見てもおかしいと思わない?こんなに雨嵐が続くなんて」
クランチ「…ああ、そうだな」
ココの眉間のしわが深い。
ココ「それに、あっちを見て」
クランチ「……え!?」
ココが指した方角には海がある。
海岸の少し先の上空には……雲が無かった。
島と島の周辺だけ、狙われたように雲があった。
ココ「3日前に気づいたんだけどね。それからずっとあのままなの」
クランチ「……なんで今まで言わなかったんだ?」
ココ「お兄ちゃんがいたから。お兄ちゃんに言ってもどうせ真面目に聞いてくれないし」
またウカウカたちが何か仕掛けてきたのか、という思いは二人に共通してあった。
クランチ「アクアクに聞いてみた方がよさそうだな」
ココ「そうね…そういえばアクアクはどこかしら」
アクアクを最近見ていなかった。
クランチ「アクアーーク!!」
アクアク「呼んだかの?」
クランチが叫んだとたん、ひょっこり現れた。
そこはスルー。
ココ「この島だけに雲が集中してるの。何か知らない?」
アクアク「雲がモクモク、なんちてな」
ココ「………何か知らない?」
スルー。
アクアク「…さあ、何も知らんな」
寂しげなのは気のせいではあるまい。
アクアク「例によってウカウカがなにかしようとしてるのかの?」
ココ「私もそう思ったんだけど…」
アクアクも真面目な顔になった。
アクアク「よし、ワシがちょいと見に行ってこよう」
アクアクが一瞬で姿を消した。

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