狼の死後「big chance!」


フレインさん作

第1話 〜会議〜

愉快。
そんな気持ちだ。、
最大の邪魔者がいなくなった。
ウカウカ様は、自分をその席に座らせるに違いない。
そう思うと、心が跳ね回った。
今度こそ、完全に自分のやり方で征服ができるようになる。
今日の会議で決まるに違いない。


会議30分前。
しかし、足が勝手に会議室まで動いた。
扉を開ける。
当然、誰もいなかった。
もうすぐ自分の手で世界を変えられる。
英雄になれる。
自然と笑みがこぼれる。
われながら、性格が悪いと思う。

ディンゴが入ってきた。
むすっとした様子で席に着く。
コルテックスの死に落ち込んでいるわけではないことは、その言動でわかった。
席に着くなり、机にだらしなく突っ伏したのだ。
会議が面倒くさいのだと、誰が見てもわかる。
すぐ後に、タイニーも入ってきた。
意気揚々と席に着く。
思いっきり音程の外れた鼻唄が聞こえてくる。
普段どおりのタイニーだ。
ウカウカ様も入ってきた。
堂々と、真ん中に並ぶ。
いつもどおり。
問題はあとの二人だ。
邪魔者の姪と、親友であり、参謀でもある男。
どうせ、泣きじゃくっているに違いない。
情けない。
冷血漢、と自分でも思った。

ニーナが入ってきた。
以外にも、しっかりしてはいるようだ。
部屋を見渡している。
自分に目をとめると、こちらをものすごい形相でにらんだ。
ニヤニヤしているのがばれたのだろう。

1分経過。
5分経過。
10分経過。
会議開始の時間から時間がたっても、もう一人は現れない。
ウカウカ様も少し機嫌を損ねているようだ。

15分後、やっとエヌ・ジンが入ってきた。
目を真っ赤に腫らしている。
今にも声を上げて泣き出してしまいそうな顔。
滑稽とさえ思えてしまった。
エヌ・ジンはかなりの時間をかけ、席に着いた。
ウカウカ「それでは、今日の会議を始める」
胸の高鳴りを抑え切れない。
ウカウカ「コルテックスが死んだことは承知だと思うが…」
エヌ・ジンは泣き出す寸前というところ。
続きが気になる。
ウカウカ「よって、ワシの次のボスがいなくなったわけだ。そこで…」
何かの音に気持ちの高ぶりが抑えられた。ノックだ。
そこで、エヌ・トロピーをボスに任命する、だったのか?
誰だか知らないが、そいつの横槍を呪った。
ニーナが扉を開けにいく。
その瞬間、さらに気分が上昇した。
邪魔者を殺虫してくれた、ありがたい人だった。

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