蘇りし証拠


サムさん作

「‥‥‥‥あなたを殺したいの。」
「わかる‥‥? 今まであなたにさんざん苦しめられていた私の気持ち‥‥。」
「全ては、あの事件からはじまったのよ‥‥。」

「‥‥知るか! オレは何もしていないッ!」
「そう。‥‥自ら死を選ぶの、ね。」
「な、何をするッ!? や、やめ‥‥」

ブシュッ!!


「‥‥うふっ。うふふふふふふ‥‥」
「満月の夜、あなたの血と共に無へ帰りなさい‥‥‥‥」

6月 15日
ピンストライプの屋敷

ピンスト「ふム、この後何かステージがあるようだな。」
   「なになに‥‥踊り子たちがステージで踊りまくる‥‥か。」
クラッシュ「でへへ〜〜〜♪」
ピンスト「おい、クラッシュ。キミは何を妄想しているのだ?」
   「やらしい心の持ち主はここから出て行ってもらおうか?」
クラッシュ「ゴ、ゴメン! ピンストライプ!」
ピンスト「‥‥わかればいいのだよ。」

クラッシュ(今日はピンストライプ‥‥ちょっとした友人からパーティに招待された。)
   (正直‥‥こんな事をしている場合じゃないんだけど‥‥前の弘一さんの事件でオイラも人気になったらしくて、探偵の仕事もかなり増えているのに‥‥)
ピンスト「もうそろそろステージの幕が上がるようだな。 さあ、楽しむとしようか、哀れなフクロネズミよ。」
クラッシュ「う、うん‥‥。」

その後、オイラたちはとても優雅で‥‥華麗なダンスを見て、各自の部屋へ戻った。


同日 9時50分
屋敷部屋 520-134号室

クラッシュ「ここがピンストライプに貸してもらったオイラの部屋だ。」
   「ベットの寝心地も良く、風呂も快適だ。 さすが、大金持ちと言ったところか。」
クラッシュ「明日は何をするんだろう‥‥。 ピンストライプに貰ったパーティのしおりを確認するか。」
   「‥‥8時パーティ開始か。 意外に、早起きしなくちゃだめなのか。」
クラッシュ「それじゃあ、もう寝るか‥‥明日、また早いしね。」


「おやすみ。」

クラッシュはベットに横になった。そこから見えるものは部屋の大きな窓であった。
その窓に映る物は、赤く光る満月と、まるで悪夢のような黒い雲であった。

6月 16日
屋敷部屋 520-134号室

「こりゃ! こりゃ!起きんか!」
「‥‥‥‥?」
「おヌシじゃよ!おヌシ!」
「‥‥‥‥‥‥?」
「起きんか!空手チョップ!」

ズガッ

クラッシュ「うわわわわ〜〜〜!!」
プラット「はっはっはっ! なんだ、その情けない顔は!」
クラッシュ「い、いってぇ〜! 何すんだよっ!」
プラット「お、おいおいクラッシュ君。私がわからないのか?」
クラッシュ「え? う〜ん‥‥。」
   「タ、タロウ君?」
プラット「誰だよ! 私だよ。プラットだ。」
クラッシュ「‥‥ぷらっと?」
プラット「‥‥キミは何も覚えていないのかね?」
クラッシュ「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あ!」

その瞬間、頭に1つの記憶が焼きついた。

ケイブ 「クラッシュ君、何か分かったか?」
クラッシュ「いえ、まだです。」

ケイブ 「あぁ、そうだな。発見時、ダイイングメッセージがあったんだ」
クラッシュ「写真か、何か残されてません?」
ケイブ 「これだ」

クラッシュ「‥‥‥‥警部‥‥‥警部ですかッ!?」
プラット「ようやく思い出してくれたか。私だ。プラットだ。」
クラッシュ「‥‥ぷらっと?」
プラット「おっと、これは失礼、前会った時は名乗っていなかったかな。」
   「私の名前はプラット、プラット・オーブレットだ。」
クラッシュ「警部。お久しぶりです。 あの事件以来‥‥ですね。」
プラット「あの密室殺人事件か‥‥。 まぁ、君のおかげで解決できたのだがな。」
クラッシュ「‥‥? で、なぜ警部がここに?」
プラット「ああ、その事か。実は‥‥」

‥‥昨日、この屋敷で殺人事件が起こったのだよ。‥‥

クラッシュ「な、なんですって! さ、殺人事件‥‥ですって!」
プラット「ああ。そうだ。まずはこいつを見て欲しい。」

プラットはファイルから1つの写真を取り出した。

クラッシュ「これは‥‥写真ですか。」
プラット「ああ、被害者の、な。」
クラッシュ「見た所、ナイフで一撃死‥‥と言ったところですか。」
プラット「なぜ一撃死だとわかるのだ?」
クラッシュ「あまり暴れた形跡がないからです。 普通、一度刺されたら必死で逃げようとするでしょう?」
プラット「うム、なぜ逃げなかったかと言うと、被害者は即死だったからだな?」
クラッシュ「そのとおりです。」
プラット「ふム、さすがだな。 君はまた2回しか事件を担当した事がないのに、これほど大きな実力を持っている。」
   「正解だ。 被害者はナイフで一撃死だ。」
クラッシュ「‥‥それよりも、警部。」
プラット「うム?」
クラッシュ「この被害者の顔‥‥もしかして。」
プラット「ああ。そうだ。被害者の解剖記録を君にあげよう。」
クラッシュ「仕事が早いですねえ。警部。」
プラット「そうですか? いつもこんなものですよ。」
クラッシュ「前のときは解剖記録なんてくれなかったくせに。」
プラット「うグ。 そ、それは‥‥!」
クラッシュ「まあいいですよ。 早速、この記録に目を通します。」

被害者名:ピンストライプ氏(21)
死亡推定時刻:9月15日 9時30分〜10時00分
死因:ナイフで一突きによる即死。ナイフは体に刺されたままである。

クラッシュ「ピ‥‥ピンストライプ‥‥だって!」
プラット「知っているのかね?」
クラッシュ「いやいやいや! 知っているのかね? って、この屋敷に来ている時点で知っているに決まっているじゃないですか!」
プラット「ボケだよボケ。」
クラッシュ「殺人事件にユーモアはいりませんよ、警部。」
   「私とピンストライプは古くからの友人でした。」
プラット「友人‥‥か。 それはさぞかし悲しかろう。」
クラッシュ「ええ。悲しいです。 でも、彼は死んでも当然だったのかもしれません。」
プラット「何故だね?」
クラッシュ「彼は何人もの恨みを買っていたからですよ‥‥。」
プラット「な、なんだって! 何人もの恨み‥‥だと?」
クラッシュ「ええ、そうです。警部。」
プラット「そ‥‥それは、殺人事件の立派な動機につながるのではないか!?」
クラッシュ「そのとおり。これは、かなり重要なモンダイと言えるでしょう。」
プラット「く、詳しく話してくれんか! 被害者について!」

クラッシュ「被害者は‥‥この屋敷の主です。」
プラット「そんな事はとっくにしっているよ。」
クラッシュ「なぜ、ピンストライプがお金持ちなのか‥‥知っていますか?」
プラット「それはさすがに知らないな。君は知っているのか?」
クラッシュ「知らなければこんな話はしません。」
プラット「ほぅ。それが動機とかかわっているのか?」
クラッシュ「ええ。もちろん。 なぜピンストライプが大金持ちになったのか、2つキーワードがそれを物語っています。」
プラット「キーワード‥‥」




「殺人」と「脅迫」と言うキーワードです──

プラット「な、なんだって! 殺人に‥‥脅迫!」
クラッシュ「ええ。 彼は脅迫で金を巻き上げていたんです。」
プラット「な、なるほど‥‥! ところで、」
クラッシュ「? なんですか?」
プラット「なぜ君がそんな事を知っているのだ?」
クラッシュ「‥‥‥‥オイラは探偵です。 それぐらい知っていなければ、オカシイです。」
プラット「べ、勉強熱心だな‥‥キミは。」

プラット「クラッシュ君。」
クラッシュ「なんですか? 警部。」
プラット「キミ、やってみないか?」
クラッシュ「え。 何を‥‥ですか?」
プラット「この事件を‥‥」
クラッシュ「な、なんですって‥‥ま、まさか‥‥」
プラット「‥‥この事件、全てキミに任せるよ。 クラッシュ君。」
クラッシュ「いいんですか‥‥? オイラ、なんかで。」
プラット「キミは自分でも気づいていないかもしれないが、かなりの字筒力を持っているんだ。」
   「その実力で、この事件を解決してもらいたい。 キミにとっても悪い話ではないだろう?」
クラッシュ「‥‥! わかりました。全力を尽くしましょう。」
プラット「うム。 任せたぞ。クラッシュ君。」
クラッシュ「あ、そういえば警部。」
プラット「何だね? いつでも、協力させてもらうよ。」
クラッシュ「事件の容疑者は、もう捕まったのですか?」
プラット「うむぅ‥‥まぁ、容疑者は捕まえた‥‥」
クラッシュ「おお! ‥‥なのになぜ、浮かない顔をしているんですか?」
プラット「容疑者の数は‥‥ざっと124人‥‥だ。」
クラッシュ「え!? な、なんですって! ひゃくにじゅう‥‥よにんですって!」
プラット「うム‥‥。」
クラッシュ「な、なんでそんなに多いんですか!」
プラット「今回の事件の現場を思い出してほしい。 そして、現場の状況も‥‥。」
クラッシュ「事件の現場? それは、ここ。 ピンストライプの屋敷ですねえ。」
プラット「昨夜の状況は?」
クラッシュ「えっと、確か‥‥‥‥‥‥あ! 大広間で‥‥パーティが‥‥!」
プラット「そのとおり。 パーティには124人もの人が参加していた。 つまり、容疑者はこのパーティの全員と言うわけだ。」
クラッシュ「なるほど‥‥。 ん。 それは少し、おかしい気がしますね。」
プラット「な、なぜですかな?」
クラッシュ「パーティのしおりを見てください。 一般客は9:00〜20:00の間のみしか屋敷にいる事ができないと書いてあります。」
プラット「それがどうしたんだね?」
クラッシュ「被害者が殺害されたのは、20:30分のハズ。つまり、一般客は家に入ることができない、そのため一般客は容疑者のうちに入らない。」
プラット「ほぉ、そういう事だったか。 一般客は容疑者ではない‥‥ということですね。」
クラッシュ「ええ。ええ。 そういうことですね。」
プラット「だとしたら、容疑者がかなり減るな。」
クラッシュ「おお!」
プラット「この資料を見てくれ。 私が作った容疑者一覧だ。」
クラッシュ「ほぅ、どれどれ‥‥。」

容疑者リスト

一般客 118人
特別客 6人

合計 124人

クラッシュ「‥‥これだけですか?」
プラット「う、うム。」
クラッシュ「これは、資料と言えるのでしょうか?」
プラット「‥‥‥‥」
クラッシュ「‥‥‥‥」
プラット「し、しかし! これで容疑者が6人になったわけだ!」
クラッシュ「‥‥恐らく、オイラは特別客に入るのでしょうね。 20時以降も行動して、寝ていましたから。」
プラット「君はもちろん犯人ではない、だとしたら‥‥容疑者は5人‥‥だ。」

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