白夜の街に


ボワボワ作業員さん作

事務所。
電話が鳴っている。
誰も取らない。
留守電になる。
『PDAです。休暇でノルウェーに行っております。ご用件はピーの後に入れてください』
ピーッ。
?「あ、お、おう。実はニューヨークで事件が起きたんだ。すぐに来てくれ!ってノルウェーにいるのか・・・・・」

2日前。
ノルウェーの空港。
?「まさか本当に部下の私を連れてきてくれるとはさぁ」
クラッシュ「おいエイミー、探偵は部下って言わないの。助手って言うんだよ」
エイミー「あぁゴメンッ☆」
クラッシュ「おどけるな・・・あ、で、ホテルに行こう」
エイミー「あぁちょっとぉ・・・荷物持ってくれないのぉ〜?」
クラッシュ「自分で持てよんなもん・・・・・タクシー!!」
運転手「はぁい・・・どこまで」
エイミー「パスイホテル」
運転手「了解!」

数分後。
パスイホテル。
ロビー。
?「すみません、クラッシュさん、ですね」
クラッシュ「あ?あ、ああ。誰だ・・・・って片山!」
片山「いやぁすみません・・・・実は事件が起こりまして・・・・」

署。
片山は何ヶ国語話せるのだろう?
ノルウェー語らしき言葉で警官に説明している。
エイミーはホテルで待っている。
しかし可愛いよなぁ・・・・エイミー。
いけないいけない。
クラッシュは自分を心の中で顔を引っ叩く。
助手に恋する探偵なんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というか。
クラッシュは続ける。
探偵の助手って・・・・いつも男だな・・・・・・・・・・・・・・
片山「探偵さん」
またそれか。
しかも最悪のタイミングで。
クラッシュはむすっとしながら答えた。
クラッシュ「はい」
片山「状況を説明します・・・・・・」
クラッシュ「は、はい」
片山「あの・・・近くのユシラック公園で・・・・・ある男性が・・・・・・殺されました」
クラッシュ「それより」
クラッシュは続ける。
クラッシュ「アガサの事件はどうしたんですか?」
片山「それよりって・・・」
片山は呆れた様子で続ける。
片山「とりあえず保留って言ったでしょ」
クラッシュ「とりあえずって・・・もう1ヶ月も経ってるのに・・」
片山「ははは・・・・・・とりあえず、これを見てください」
片山は写真を差し出す。
クラッシュ「・・・・被害者・・・この首の折れ方は普通に死にますよ・・・・上の遊歩道から落とされたのですね・・?」
片山「え、ええ。そして死亡推定時刻は・・・午後8時27分です」
クラッシュ「・・・腕時計ですね」
片山「え?」
クラッシュ「・・・ですから、腕時計がこの・・・被害者・・」
片山「ナウタです。ナウタ=ルウハです」
クラッシュ「ナウタさんが着けていた腕時計が落とされた瞬間で止まった。ですからそんな詳細な時間が分かるんですよね?」
片山「あ、あぁ・・・・」
クラッシュ「容疑者は?」
クラッシュは頭でエイミーの事を考えながら言った。
片山「ゲイリー=ギグルス・・・・捕まえてます」
クラッシュ「これはこれは」
片山「しかし・・・証拠がないんです」
クラッシュ「ふっ・・・・お任せ下さい」

数分後。
尋問室。
鉄のテーブルを挟んでクラッシュとギグルスが座っている。
クラッシュ「どうぞ」
ギグルス「え〜っと・・・まず俺が午後8時までテレビを見ていたのは覚えています。『銀塊』を見ていたので覚えてます。8時です」
クラッシュ「『銀塊』は土曜日にはやりません」
ギグルス「あぁ・・・いっけねぇ」
クラッシュ「・・・・」
ギグルス「間違えました。きっとその・・・あのビデオを見てたんで・・・・・・・その時間と勘違いしてたみたいです、すみません」
片山が資料を渡す。
『ノルウェー電力発電所のお詫び』
え?おい、証拠はなかったんじゃないのか?
クラッシュはそう思いながら冊子をめくる。
『2日前、土曜日の午後7時〜9時まで停電していた事をお詫びします』
へぇ。
じゃぁ・・・・確実にコイツが黒だな。
星だ。
現代風に言うと☆だ。
まぁ・・・停電しなかったら・・・ビデオも何もないし・・・・・・
ったく幼稚な事件だ。
クラッシュは片山の言葉を無視してとっととホテルに戻った。

白夜の街で 完

あとがき
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