Shut Mind
BGMを聴く


flame festivalさん作

第一話 いつもと変わらぬ日

2002年5月1日
「ねぇ、ゆうちゃん。今度映画見に行こう?」
「え、珍しいな。で、何見るんだ?」
「だめ〜。お楽しみ。」
「なんだよ。」
告るんだ、私!
絶対今日こそ。
「じゃあな。」
「あ・・・うん。」
あれ、なんだろう。
私は無意識のうちにゆうちゃんに抱きついていた・・・。
「へ・・・?」
あ・・・あ・・・あ・・・
自分でも顔が紅潮していくのが分かる。
「あ、あはははは。イタズラだよ。じゃあね。」
「お、おう。」
私は強引に彼と別れた。



2002年5月2日
「おきなさーい」
お袋の声でかすかに目を覚ました俺は目をこすりながら時計を見る。
8時・・・?
まずい、実にまずいぞ。
「らららららららららら〜〜〜〜〜」
俺は叫びながら階段を降り、食卓へ向かった。
「あら、着替えてたの、今日はお父さん休みだから一緒に食べない?」
そんな余裕あるわけない。
といってる間に8時10分だ。
俺は食パンをくわえ、そして扉を開け全力疾走。
のどかな田園に清水、そこにそびえたつは俺の通う学校―――中埜東(なかのひがし)高校。
学校についたときには担任が職員室から出るのをみた。
「とぉ!3段飛ばし!」
そんなくだらない事言いながらかけていく。
ガラガラ。
先生はまだ来てない。
安堵した俺は机へ鞄を置きに行った。
「よぉ、空倉。遅いジャン」
最初に声をかけてきたのはクラス一ハイテンションな女子の遠藤兎萌だ。
「うっせぇなぁ、お前もこの前遅かったろ?」
言い訳というか負け惜しみというか・・・・・・情けないなぁ・・・俺・・・・・・
「お!空倉じゃーん。お前昨日隣の町の中学でナンパしてたんだって?」
他の男子が問う。
だが身に覚えが無い。
「うっそー、うちコレ(空倉)にはナンパされたくない。」
「してねぇよ。ってかしようとおもわねぇよ。」
俺はあえて冷静に否定した。
「おーい、お前ら。ホームルーム始めんぞ。席に着け。」
先生のおっさんって感じの低い声が教室に響く。

・・・そして退屈な授業が終わり皆が帰る用意をする頃になった。
「空倉君、一緒に帰ろう?」
声をかけてきたのは菅咲巳紗季だった。
「別にいいけど。あ、でも俺今日バイトだかんな。早めにかえんねぇと。」
「おぉ、おぉ。お二人さんいい感じ!」
・・・最悪だ。こんなときに遠藤が。
「なんなら両手に華持たせてやっていいぞ。」
「お前は華じゃなくて虫だな。虫持つのやだ。ばーい。」
「な・ん・だ・よ。冷てぇなぁ。帰ろうぜ帰ろうぜ帰ろうぜ帰ろうぜ帰ろうぜ帰ろうぜ!!!」
そんなに帰りたいか。
「しかたねぇな〜。」
俺は自分が憎くなるほど嫌そうな顔で言った。
まぁ、別に三人で帰るのもいいだろう。

「なぁ、今日なんで美遊休みだったんだよ。」
俺が問う。
「あれじゃね?あれ。」
遠藤の説明はわかりづらい。
「いやわからん。あれってなんだよ。」
「ほら、あの〜何回忌とかあるやつ。」
「法事ね。」
「知ってるっつの。」
知らないからいったんだろ?
俺は心の中でそうつぶやいた。
さて、この日々は続くのだろうか。

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