Shut Mind
BGMを聴く


flame festivalさん作

第四話 浦崎美遊

「けいし・・・ちょう?」
「はい、浦崎のことで聴きたいことがありまして、まぁこっちからも伝えることがありますが。
お体のさしさわりのないようお話をさせていただきます。
嫌な場合は帰りますが。」
俺は心底どちらにしようか迷っている。
だが迷ってる場合じゃない。
「ききます、質問もどうぞ。」
と俺はいうと原岬氏はありがとうございますと返した。
「まずですが、一連の事件はどこまでお知りで?」
「えっと、まず7日に浦崎のニュースを見ました。
その時は家が家事になったという報道でした。
そして、その日の学校の帰り、浦崎が俺を襲いました。
浦崎は俺の首にナイフをつきつけ『右を向け』といいました。
右を向くと船橋氏の頭部があって、」
船橋とは俺の担任だ。
「そして俺の腕を鈍器みたいなもので殴り、腕に何かを刺して・・・それから・・・。」
それから・・・駄目だ。思い出せない。
「気絶したんですね。」
それしか答えがないようなので俺は、はいと相槌を打つ。
「あの3日の朝に実は遠藤さんが襲われました。
そして浦崎は彼女の腕を切り落としました。
そしてその手をあなたの通う高校、すなわち中埜東高校の正門のポストに入れました。」
「っ、遠藤は?」
「大丈夫です、ですが出血が酷く昨日が峠でした。
今は、街の方の総合病院で入院しています。
あの、空倉さん。浦崎が精神病を患っていることをお知りで?」
「はい、知ってます」
原岬と名乗った男は手帳を開く。
それをみながら言葉を発する。
「念のために症状等、言っておきますね。
彼女は生まれつきの総合失調症を患っていて、
被害、注察、被毒、恋愛妄想が酷く小学校中学年のころから中学校1年生までは、昏迷、体感幻覚の症状が現れているんですよ。
そうそう、あとあなた知らないと思いますが面白いことに医師の前で『ゆうちゃん大好き』とずっと言ってたんですよ。」
っ!?なんというか・・・病的な愛され方だな・・・・・・。
「俺治療とか聞いてないんですよ。知ってますか?」
「はい。薬物療法、クエチアピンの投与を行ったみたいですが、
一向に収まらない。
電気けいれん療法、ECTと呼ばれる治療も意味もなし。
作業療法と呼ばれる芸術、スポーツを主体とし行う療法です。
あなたは確か小学6年生の頃に浦崎と一緒にバイオリンをしていたそうですね。
それで一時的に治ったんですが、
妄想の症状が一向に治るどころか悪化している。
捉え方によればいいことじゃないんですかね。」
「な・・・何を根拠に?」
「『ゆうちゃん大好き』・・・ね?」
「はっ!?」
その刹那、喉にたまっていたドロドロとした液体がこみ上げてきた。
「ゲホッ。」
赤い。
「あぁ、大丈夫ですか?空倉さん。」
看護婦がやってきた。
「すみませんね。ちょっと無理させてしまったみたいです。」
そういって看護婦に頭を下げ出て行った。
ダメだ、まだ話が・・・・・・。
言おうにも言葉が出ない。
そして俺の意識もなくなってゆく・・・。

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