クラッシュ・ウェスタン2 〜Leute beim Edelstein〜


リボルバーさん作

第二章

日が傾き始め、宝石発掘や仕事をしていた者達も次々と帰るべき場所に帰りだした。
クラッシュも仕事を終え、自分の家へと戻った。
「ただいま〜」
クラッシュは家に入った。
「お兄ちゃんおかえり〜」
「おかえり、クラッシュ」
ココとクロックはリビングでくつろいでいた。どうやら口喧嘩は終わったようだ。
クラッシュもリビングに入ると、床の上に倒れこんだ。
「だぁ〜、疲れた・・・」
クラッシュは度重なる犯罪の処理で完全に疲れきっていた。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
ココがクラッシュに声をかけた。しかし、クラッシュは何も言わなかった。
「お兄ちゃん・・・?」
「zzz・・・」
何とクラッシュはこの数秒の間で眠りに着いたのだ。相当疲れていたのだろう。
「クラッシュも大変だな・・・毎日仕事ばっかりで」
「クロック兄ちゃんもこのくらい働いてくれたらいいのに」
「・・・もういいだろその話は」
「それよりも、クラッシュ兄ちゃんに寝られたら困るのよね」
「何でだ?」
「今日、夕飯作るつもりなかったもの」
「は?」
「あたしも疲れたから今日はクランチさんのところでご飯食べようかと思って」
「そうか・・・ボクも腹減ったし行くか?」
「え?でもクラッシュ兄ちゃんが・・・」
「こうやったらいいんだよ」
クロックはそう言うとクラッシュの耳元で叫んだ。
「旨いりんご料理が食えるぞクラッシュ!早く来ないと全部食っちまうからな!」
クラッシュはその言葉を聞いた瞬間飛び上がった。クロックの声に驚いたのか、りんご料理に食いついたのかは分からなかった。
「りんご!りんご料理どこ!?」
「クランチの店に食いに行くぞ」
「分かった!」
クラッシュの姿を見て、ココは呆然とした。
「クラッシュ兄ちゃんにとってりんごって一体何なの・・・」
ココが小さな声で呟いた。
そして、三人はバー・クランチに行くことになった。

バー・クランチは物凄い賑い様だった。
ウォーラスが食堂としてクランチの店で宿泊客用に料理を作っているので、夜は街のほとんどの者がバー・クランチに集まるのだ。
クラッシュ達はとりあえず三人掛けのテーブル席に座った。
すぐに、シクラメンがクラッシュたちの所に来た。
「いらっしゃいませ〜、ご注文は?」
「いつもの頼む」
クロックがシクラメンに言った。
「はい、いつも通りですね。オーダー入りまーす。生りんご30個とりんごコース三人前、りんごジュース3杯!」
シクラメンはそう言うと急いで注文を取りに行った。
クラッシュ達は此処のほぼ常連のため、シクラメンも大体出すメニューを覚えている。
「・・・クラッシュ兄ちゃん、いつも思うんだけど」
ココがクラッシュに言った。
「ん、何?」
「注文の量おかしいと思わない?」
「食べ盛りなんだよ、おいら」
「・・・いいかげん家計が厳しいのよね・・・宝石売らない?」
「うーん、売りたいんだけど何かもったいなくて・・・」
クラッシュは自分が見つけたオパールを売れずにいた。何故かこの宝石を手放したくないと思っているのだ。
「まぁ、ボクがオパールを見つけてすぐに大金持ちになれるから」
二人の会話にクロックが割り込んだ。
「・・・クロック兄ちゃん、まだ宝石探しに行くの?」
「じょ、冗談だよ」
三人で会話をしてると、シクラメンが注文品を持ってきた。
「お待たせしました〜。りんごコース三人前とりんごジュース3杯です。あ、生りんごはテーブルに乗らないのでコースが終わり次第、持ってきますので。あと、クロックさん、これ、わ、私からのサービスです・・・」
注文品を置いた後、シクラメンはクロックの前に飲み物を置いた。
「これは?」
クロックがシクラメンに聞いた。
「こ、これ、私が作ったカクテルです!ど、どうぞ飲んでください!では!」
シクラメンは顔を赤らめながらそう言うと、足早に去っていった。
「いいな〜、兄ちゃん。シクラメンちゃん特製カクテルだなんて」
クラッシュはクロックを羨ましそうな目で見た。
「ん、クラッシュ、ほしいか?ボクちょっとカクテル苦手だからやろうか?」
「い、いや、兄ちゃんからもらうんじゃなくて・・・」
「え?じゃあココいる?」
クロックはそう言うとカクテルをココに渡そうとした。
「クロック兄ちゃん・・・乙女心が分からないの・・・?」
「え?」
「とにかく!そのカクテルはシクラメンちゃんがクロック兄ちゃんにあげたものでしょ!それを他の人にあげるってどういう神経してるの!?」
ココは怒鳴りながら言った。クラッシュもそれを聞いて溜息をついた。
「はぁ・・・おいらも、兄ちゃんのそういうとこ悪い癖だと思う」
「な、何だよ二人して・・・そんな怒る所か?」
「だぁー!!もう!!シクラメンちゃんはクロック兄ちゃんにカクテルを飲んだ感想を聞きたいのよ!あたしやクラッシュ兄ちゃんじゃなくて!分かる!?」
「うーん、でも、やっぱりカクテルは・・・」
「飲んで!!!」
「は、はい・・・」
ココに思いっきり怒鳴られて、クロックはやっとカクテルを飲んだ。
シクラメンは、その一連のやり取りを遠くから見て、深く溜息をついた。
「はぁ、クロックさん、いくらなんでも鈍すぎる・・・」
シクラメンは呟くと、急いで他の客の注文を運んでいった。
クラッシュ達はバクバクと料理を食べた。ウォーラスの作る料理はまさに絶品。食べ慣れているとはいえ、その味は素晴しい。
「クラッシュ兄ちゃん、ちょっと言いたいことがあるんだけど」
ココはクラッシュを呼んだが、クラッシュは料理を食べるのに夢中で聞いていない。
「お兄ちゃん〜、聞いてる?ねぇってば!」
ココの大きな声でようやくクラッシュが顔を上げた。
「何だよ〜、こっちは飯食ってるんだぞ〜。で、用件は?」
「犯罪組織Vaterって知らない?」
「知らない。でも犯罪って言うからには悪いことするところだろ?ギャングとかその類?」
「保安官ならこのくらい知っててよ・・・いい?Vaterってのは最近世界各地で犯罪を起こしてる組織なの」
「ふーん」
「でね、その組織がどうやらオセアニア州のどこかに本拠地を持ってるらしいの。もしかしたらオーストラリアに進出してくるかも・・・」
「オセアニア州って何?」
「・・・お兄ちゃんに聞いたあたしが馬鹿だった」
ココは頭を抱えながら呟いた。クロックも嘆息した。
「あのな、クラッシュ。オセアニア州ってのは・・・簡単に言ったらここらへんのことだ」
クロックはクラッシュにも理解できるようかなり簡単に説明した。
「なるほど。で、その組織が来てもちゃんと対応してね、って言いたいんだ、ココ」
「そう!お兄ちゃん理解力高〜い!」
「馬鹿にしすぎだよ・・・」
ココはVaterと呼ばれる組織が近々この街を訪れるのではないかと睨んでいた。こんな寂れた街に高価な宝石、いつ襲われてもおかしくない。
「まぁその時はおいらとか他の皆で何とかできるよ。ピンストライプのときもそうだったじゃん」
「お兄ちゃん、もうこれ以上この街で犠牲者を出してほしくないの・・・ビロードさんみたいに」
「・・・」
クラッシュはビロードと言う単語を聞いた瞬間黙り込んだ。
「おい、ココ」
クロックが真剣な声でココを呼んだ。ココはその声で自分が思わぬ失言をしてしまったことに気づいた。
「お、お兄ちゃんごめん!」
「いいんだ、ビロードさんはおいらのせいで・・・おいらのせいで死んだんだから・・・」
クラッシュは小さな声で呟いた。
クラッシュの心の中で、ビロードの死は大きな傷として残っていた。
自分の一瞬の油断のせいでビロードはピンストライプの弾丸に当たって死んだ。そのことをクラッシュは今でも後悔していた。
その後、クラッシュ達は黙りながら食事を取った。シクラメンが生りんごを持っていった時も、三人は黙りっぱなしだった。

カウンター席では、ポトリゲスと南が酒を飲んでいた。
この二人は夜になると此処で飲むことが多い。
「ふぅ、この一杯で疲れが全て吹き飛ぶぜ」
ポトリゲスがそう言いながらウィスキーを飲んだ。
「あの保安官の手伝いだから相当疲れるだろうに」
「まぁな。それよりも聞いてくれよ。今日の昼によ、此処の店の前で酔いつぶれているリタイラルって言う鼬の男がいたからちょっと連れてったんだ。そしたらそいつ文句ばっかり言いやがって。俺様のことを鼬野郎とか言いやがるんだぜ!」
「まぁ、事実だからな」
「でも鼬に鼬って呼ばれるのって嫌だろ?南も猫耳のついた奴に猫耳野郎って呼ばれたらどう思う?」
「・・・知らねーよ」
南はそう言うとウィスキーを飲み干した。
南の頭についている猫耳はあくまで飾りだ。本物の耳ではない。
「ったく、面白い答えが返ってくると思ったのに」
「で、そのリタイラルって野郎はどこにいる?」
「えーとな・・・ほら、あいつだ」
ポトリゲスはそう言って遠くの方のカウンター席に座っているリタイラルを指差した。
リタイラルは完全に酔っ払っており、クランチに向って色々言っていた。
「マスターさん、もっと僕に酒を出しておくれよ〜」
「お客さん、飲みすぎだ。これ以上飲んだらマジでやばいぞ」
「知ったこっちゃねぇ!酒だ!酒をくれ!」
「はぁ・・・お!」
クランチはポトリゲスと南の方を見た。
「おいそこの二人!悪いがこいつを説得してやってくれないか?」
クランチはそう言って手招きをした。
「は?何で俺様達がそんなことしないといけないんだ!」
「俺は別にいいけど」
「南、面倒事に関ったらろくなことがねぇぞ」
「ほら、ポトリゲスも行こうぜ」
南はそう言うと立ち上がり、無理やりポトリゲスの手を引っ張った。
「仕方ねーな・・・」
ポトリゲスもしぶしぶ立ち上がり、リタイラルの元に行った。
「おい鼬野郎、俺様の顔を忘れたとは言わせないぞ」
ポトリゲスの声にリタイラルは反応し、ポトリゲスのほうを見た。
「あ!保安官もどき!」
「もどきとは何だよ。とにかく、お前は飲みすぎだ。また連行されたくなかったら金払って帰れ」
「やなこった。僕はまだ全然飲み足りてないさ!」
「・・・やっぱ俺様無理。南、後は任せた」
ポトリゲスはそう言って、元のカウンター席へと戻っていった。
「リタイラル・・・だったか?」
南はリタイラルに問いかけた。
「そうだけど?」
リタイラルが答えた。
「金は持ってるよな?」
「当たり前じゃないか!」
「じゃあ見せてみろ」
「ほら!」
リタイラルがポケットから財布を出した。
「・・・マスター、こいつの飲んだ額は?」
「えっとな・・・ざっと800ドルってところだな」
「800か・・・足りないぞ」
リタイラルの財布には500ドルしか入ってなかった。
「え、マジ!?」
リタイラルは飛び上がると、南から財布を奪い、中を確認した。
「ひ、ふ、み・・・ごめん!ツケで頼む!」
リタイラルはそう言ってクランチに向って両手を合わせた。
「仕方ないな・・・次絶対払えよ」
クランチが言った。こういうときクランチは大抵許してしまう。
「ありがとう!絶対払うから!じゃ、またな!」
リタイラルはそう言って500ドルをカウンターに置き、足早に去っていった。
「・・・マスター、常連じゃないのにツケでいいのか?」
南がクランチに言った。
「いいんだいいんだ。あの人は悪い奴じゃなさそうだし、それより、助かったぜ」
「にしても金が足りないことに気づくまで帰らないとは」
そう言うと南は右手で何かの紙切れをひらひらさせた。
「・・・まさか」
「このくらいしないと帰らなかっただろあいつ」
南はカウンターに紙切れを置いた。それは300ドルだった。
「あの客から抜いたのか!?いつの間に!?」
「次来たら返してやってくれよ」
南はそう言って元の席に帰っていった。
「・・・犯罪だろ」
クランチはそう呟くとリタイラルが飲みつくしたグラスを洗い始めた。

「ロ、ロックさん、いい加減帰っても・・・?」
「まだまだ夜は始まったばかりじゃねーか!これからだぜ!ヘルゼル!」
ロックとヘルゼルは昼に出会って以降、ずっと此処に居座っていた。
ロックは料理についていたステーキ肉をフェアーにあげた。フェアーはおいしそうに肉を食べた。
「・・・明日は早いのでは?」
ヘルゼルが聞いた。
「まぁそうだけどよ、発掘作業ってのはエネルギーを使うんだ。それをチャージするためにちゃんと食っとけよ!」
「すまない。私はもう満腹で・・・」
「うーん、じゃあ仕方ないな。今日は早く寝ることにするか!」
「賛成。で、明日の詳しいスケジュールを頼む」
「まず朝八時にこの街の北にある門に集合。そこから二人で発掘現場に行く。あとは体力の続く限り発掘作業!」
「大雑把だな・・・」
「ま、見つかるかどうかは運次第だし、気楽に行こうぜ!おーい、シクラメンちゃん、勘定頼む!」
ロックの呼び声でシクラメンがロックたちのところに来た。
「勘定ですね。えーと、会計350ドルとなります」
「ほら、ちょうど」
ロックは財布から350ドルを出した。
「食いすぎだと思うのは私だけだろうか・・・」
ヘルゼルが小さな声で呟いた。
「350ドルちょうどですね。ありがとうござい・・・あ」
シクラメンが何かに気づいたように声を発した。
「どした?」
ロックが尋ねた。
「昼のお金、まだもらって無かったですね。あの時はカクテル一杯だったので8ドルですね」
シクラメンはそう言って右手を出した。
「・・・あ、ああ、そうだったな、ハハ、ハハハ・・・」
ロックはそう言いながら財布から8ドルを出した。
「ありがとうございました〜。またお越しください〜」
シクラメンはお金を受け取り、また他のテーブルへと行った。
「まさかとは思うが、ごまかそうと?」
ヘルゼルがロックに聞いた。
「お、俺がそんなケチ臭いことするわけないだろ、で、お前も宿屋に泊まってるんだよな」
「そうだ。一緒に帰るか」
「だな」
二人はバー・クランチから出て行った。

バー・クランチの二階のテーブル席。
そこを男性二人と女性一人が囲んで座っていた。
「ちょっとあんた!えらく注文すると思ってたらそんなもんつくってたのね!」
女性が鷹の男性に向っていった。
「別にいいじゃねーかこのくらい。それにしてもハンバーガーくらい置いとけって話だよな。なんで俺が自分で作らなきゃいけねぇんだ!」
鷹の男性はそう言うと自分で作ったハンバーガーを頬張った。
「・・・くだらん」
鼬の男が呟いた。
三人はあーだこーだいいながらわいわいと食事を取っていた。
「それよりフレイホーク!あたいの言うとおり下見はしたの!?」
女性がフレイと呼ばれる鷹の男に尋ねた。
「悪い、ハンバーガー屋探すので精一杯だった」
「はぁ?何その理由!?で、カタパルトは、ちゃんと下見した?」
女性は今度はカタパルトと呼ばれる男性に尋ねた。
「俺は御前に指示などもらっていない」
「何なの!?指示がないと動けないの!?マジ使えない奴らね!」
女性はそう言うと頭を抱えた。
「そう言うけどよ、ニーナのほうはちゃんと調べたのかよ?まさか自分はくつろいでたとかじゃねーよな?」
フレイがニーナと呼ばれる女性に尋ねた。
「調べたに決まってるでしょ!・・・いい、今から作戦説明するから、ちゃんと聞きなさいよ」
ニーナはそう言うと、テーブルの上に紙切れを置いた。フレイとカタパルトはその紙切れを見た。



「すげぇニーナ、ここの地図じゃねーか!」
「こらフレイ、声がでかい。いい、一気に説明するから。作戦決行は深夜2時。今Vaterの部隊がこっちに集まってるから、北の門前で集合。まずは部隊の三分の一をあたいが引き連れて、一番東の道を進んで此処の酒場に来る。そして酒場を制圧。適当に暴れ次第、酒場に火を放つから、フレイ、あんたは空からそれを確かめ次第部隊の半分を引き連れて中央の大通りの建物をどんどん襲っていって。戦力になりそうな奴は捕まえて、それ以外は殺すこと。もう半分には西の道にある住宅街を襲わせて。いい?」
「分かった分かった。要は暴れりゃいいんだろ?」
フレイが言った。
「そうそう。そしたら恐らくこの街の保安官を名乗るクラッシュという男が家から出てくる。家の部分は星のついている場所だから。カタパルトはそれを確認次第家に入って例のブツを奪う。簡単でしょ?」
「全くだ」
カタパルトが呟いた。
「恐らく住民は村長の家か北門に集まろうとする。村長側の住民はあたいが、フレイは北門に集まった住民を始末する。その後あたいらは北門で合流、撤退という流れ。もちろん金になりそうなものはどんどん奪ってくるんだよ。心配しなくても何台かトラックを呼んでるから帰りの心配はいらない。ま、Vaterのあたいらには楽すぎるわ」
ニーナはそう言うと地図をポケットにしまった。
「でもよぉ、ここの住民の中にはあのポトルーズを蹴散らした兵もいるんだろ?苦戦は必須じゃねーのか?」
フレイが二ーナに聞いた。
「ポトルーズとVaterは根本的に違うのよ。ポトルーズは少数の精鋭隊で構成されたギャング団。それに大してあたいらは大人数で構成された組織。戦いってのは質より量よ。数の暴力ってのは凄まじいものよ」
「ふーん。それより嫌な噂を聞いたんだ」
「何、フレイ?」
「ニーナはクリムゾンっていう男知ってるか?」
「いや、知らない」
「カタパルトは?」
「・・・名前は聞いたことはある。それより俺はもう準備にとりかかる。またな」
カタパルトはそう言うと立ち上がり、階段を下りて、バー・クランチを出ていった。
「何だよカタパルトの奴。話くらい聞けばいいのによ」
フレイはそう言いながら新しいハンバーガーを作り始めた。
「で、そのクリムゾンって男の話、聞かせて」
「ああ、そいつは科学者なんだが、自らの実験のためならどれだけ非道な手を使ってでも実験を成し遂げようとするいわばマッドサイエンティストなんだ」
「へぇ〜、で、それが?」
「その男もブツを狙ってるらしい。どうやら既にこの街に潜伏しているらしい。もしかしたらそいつとの戦いは避けられないかもしれない」
「ふん、どうせ科学者でしょ。あたいらみたいに戦い慣れしてる奴と戦ったらすぐ死ぬんじゃないの?」
「・・・どうも俺らのところの一番上も恐れている人物らしい。過去になんかあったらしいんだ」
「マジで?それ結構やばくない?あの人が恐れをなすなんて相当なんじゃないの」
「だよな。だからもし出会ったときは気をつけないとな」
「うん。じゃ、あたいらもそろそろ行こうか」
「ちょ、ちょっと待って、このハンバーガー食ってから・・・」
「ハンバーガーってのは歩きながら食えるのが利点でしょ!そんくらい食いながら来い!」
ニーナはそう言うと立ち上がり、一階にいるシクラメンの所に行った。
「待ってくれよー!」
フレイもハンバーガーを手に持ちながら急いでニーナの所に行った。
会計を終わらせたあと、二人はバー・クランチから出た。
「ここもあと少ししたら地獄に変わる。無能な奴等の死に顔が拝めるなんて最高じゃない!アハハハハ!」
ニーナは笑いながら歩いていった。
フレイも彼女を追って歩いていった。

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