レースクイーンの恋〜あんなヒゲ親父、大っ嫌いっ!〜


風鈴かなでさん作

第2レース 面接官、D<!!

「ここが宇宙ステーション‥‥。」

ロケットの降りた先は、本当に宇宙ステーションだった。

窓が仕切りになっており、広大な宇宙の光景が映し出されている。

「きれい‥‥・」

きらびやかな宇宙の星々。 私は、心を奪われていた。

「お主。 ‥‥今から、面接ですぞ。」

「‥‥あっ、はい。」

しかし、ジンの言葉で一気に現実に戻される。

そうだ、私は仕事のためにここに来ていたんだ。


目の前には大きなドア。この先が、面接会場らしい。

うう‥‥面接というのは、いつになっても緊張する‥‥。

「大丈夫か? 震えているようだが‥‥。」

「あっ、はは、はいっ。大丈夫ですよっ‥‥。」

声も震えてしまう。

それから数分後、ドアが開いた。

私は、ドアの中に足を踏み入れた。




「ようこそ、面接会場へ‥‥フヒヒッ。」





「あァ!?」





私の緊張が怒りに変わった瞬間だった。

面接官、それはどこかで見たことのある男。

そう‥‥。


「コルテックス!! 何であんたが面接官なのよっ!」

「なにせ、ワシが社長だからな。 バイトを雇うのもワシ次第、ということだよ。」

「くぅっ‥‥。 何が社長よ‥‥。」

「おやおや。面接中にそんな態度を示していていいのかな?」

「あっ‥‥す、すいませんっ‥‥。」

私は頭を下げる。

でも、なんで下げなきゃいけないの?

まあ、アイツは別に何か悪いことをしたわけじゃないんだけど‥‥。

「じゃあ、質問をしていく。 本当のことを答えるように。」

「はいっ。」

大丈夫、私は昔から面接マニュアルで練習を積んできた。

レースクイーンになるときも必死で練習したものっ。



「‥‥スリーサイズは?‥‥」



「はぁ!?!?」


イスを


持って


投げるっ!!




「へぶぅ!?!?」


「ちょっと!! セクハラじゃないの、それ!」


「‥‥セクハラではないとも。 ワシは真面目に言っておる!!」

「ふんっ、本当にバカね。 エロ親父がっ。」

「もういい!! 面接は終わりだ!! 控え室で結果を待っておれ!」

「ふんっ、勝手にするわよ!」

私はすぐに会場から出て行ってしまった。

控え室。

あるのはソファーだけ。私はそこに腰をかけていた。

「はぁ‥‥何であんなヤツの下で‥‥。」

やっぱり、やめておいたほうが良かったかもしれない。

私の身体を、あの男に貸すことになるなんて‥‥。

嫌だ。絶対に嫌だ。 ‥‥考えたくもないっ。

もう一度、レースクイーンに復帰できた時のためにこの身体は綺麗のままにしておきたいもん。

「ギィイィ‥‥。」

ドアが開く。エヌ・ジンだ。

「面接の結果が出たぞ。」

エヌ・ジンの持つ手には書類が。

「‥‥どうせ、採用なんでしょ?」

「‥‥ム。 よくわかりましたな。」

当たり前よ。

あのエロ親父が、こんなに可愛い女の子を雇わないわけがないもん。

「では、今日からここで寝てもらう。部屋を貸そう。」

「‥‥随分と、親切なのね。」

「は。 コルテックス殿は仲間を大切にされる。 これは、この基地の
方針なのだ。」

「‥‥そう。」

少しだけど、気の利いたところもあるんだ。

私は、ちょっぴりだけ。ほんのちょっぴりだけ見直した。

‥‥ほんとに、ちょっぴりだけよっ。

「今日はもうゆっくり休みなされ。部屋のキーを貸す。」

「うんっ。ありがとう。」


私は部屋で今日は休むことにした。

明日から、がんばらなくっちゃね──


レース2、終幕。

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