踊る骸骨


ボワボワ作業員さん作

?「入ってよ」
女が先に家に入っていく。
男がそれを追って中に入る。
2階にあがる。

?「今日はどんな恨みを持ってきたの?私が相手を呪って・・」
この人お金を持ってるのかな・・・・・・・・・・・・
この依頼が終わればグアムに行ける・・・・・・・・・
張り切るわ。
?「・・・・・依頼を言ってよ」
男はポケットに手を突っ込んだまま動く気配がない。

外。
?「ったく由美子ったら・・・早く済ませてよ。呪い屋に仕事・・」

?「ねぇ・・・・言わないの・・?」
?「・・・・・」
男は無言のままだ。
どうしたの?言う気が無いなら帰って欲しいわ・・・・・もう3時なんだし・・・・・・・・由美子の部屋を借りてるのに・・・・・・・
?「言う気無いの?」
男は女が座っているベッドに飛び乗った。
?「!?」
男はポケットから手を抜いた。
その手には銀色に光るものがあった・・・・・・・・・・・・・・・


プルルルル、プルルルル、プルルルル。
クラッシュ「はい。あ、またですか?3日前・・・・・そうですか。すみませんが刑事さん、うちの事務所まで来ていただけませんか?」

刑事「あぁ・・・これで13人目だな・・・」
クラッシュ「はい、今月の死亡者、いや、殺害者が、ですよね」
刑事「・・・・・ああ」
クラッシュ「状況を話してもらえませんか?3日前の殺人事件の」
刑事「被害者はアル中、そして呪い屋をやっていた」
クラッシュ「それは誰から聞いたので?」
刑事「殺された部屋の持ち主、由美子さんに聞いた物です」
クラッシュ「矛盾はないのですね」
刑事「ああ、ない」
クラッシュ「死亡推定時刻は・・・・3時、ですね」
刑事「そうだ」
クラッシュ「これまで殺害された方達の遺体はモルグにありますか?」
刑事「あぁ・・・どいつも親戚がいない」
クラッシュ「それが一つの共通点ですね」

モルグ。
クラッシュ「酷いな・・・・」
刑事「あぁ・・・・第一被害者だ。デスモンド・ルブランという・・」
クラッシュ「この方の資料を」
検査官「はい・・」
クラッシュ「どうも」
刑事「何か思い当たったか?」
クラッシュ「この人もアル中なんですね・・・・」
刑事「あ、そう言えば・・」
クラッシュ「第二被害者は・・」
刑事「この人だ」
刑事はクロークを剥ぎ取った。
クラッシュ「・・・・・・」
刑事「アリー・ラブマンだ」
クラッシュ「ほう・・・この人もアル中・・・そして全員アルコホール依存症撲滅団体に加盟している・・・・で、今回の被害者・・・」
刑事「富田 恵、だ」
クラッシュ「なるほど・・・」
刑事「これ・・」
クラッシュ「・・・・・・あの、触っても・・・いいですか?」
刑事「ゴム手袋つけろ」
クラッシュは首の筋を見た。
クラッシュ「t・・・・」
刑事「こっちはDだ」
刑事はデスモンドの遺体の首を見ながら言っている。
クラッシュ「すみませんが刑事さん・・この方達の名簿とプロフィール、アルコホール依存症撲滅団体の名簿を明日までに・・・明日は前回の事件から」
刑事「4日だ」
クラッシュ「犯人は殺す日をバラバラにしている・・・・とりあえず急いでくれないか?」
刑事「了解」

翌日。
事務所。
電話が鳴った。
クラッシュ「はぃ。あぁ、名簿・・・見ました。まさか昨日中に届くと思っていませんでしたが・・・・・何か喫茶店で待ち合わせましょう。はい・・・・はい・・・・新たな事実が判明しました。・・・・・・・ええ。では調度30分後に喫茶店ベーカー街で」

ベーカー街。
刑事「で、新たな事実というのは」
クラッシュ「まず全員アルコホール依存症撲滅団体の第二グループに入ってる人達だ・・・・・・」
刑事「ほう」
クラッシュ「確か第二グループの団員に逮捕された方がいましたよね・・・・・」
刑事「あぁ・・・・小田 葦・・・」
クラッシュ「どういう理由で」
刑事「飲酒運転で女をひき殺した・・・・」
クラッシュ「・・・・・なるほど」
刑事「あぁ・・・・酷い事件だったよ」
クラッシュ「故意に・・?」
刑事「いや、んな事はない」
クラッシュ「ほう・・・あともう一つ」
刑事「何だ?」
クラッシュ「殺害された人々たちは全員首にアルファベットが刻まれていました。そのアルファベットは・・・・・・」

 一人目:D
 二人目:a
 三人目:n
 四人目:c
 五人目:i
 六人目:n
 七人目:g
 八人目:S
 九人目:k
 十人目:e
十一人目:l
十二人目:e
十三人目:t

クラッシュ「となるわけです・・・」
刑事「ほう・・・」
クラッシュ「全部の文字が殺された被害者の頭文字です」
刑事「・・・ふむ」
クラッシュ「名簿によると・・・このグループ残り二人しかいないみたいですね」
刑事「あぁ」
クラッシュ「ま、とりあえず、この団体のリーダー、即ち団長を憎む人を当たってみましょう」
刑事「それは」
クラッシュ「アルコホール進呈委員会の会長でしょう、知り合いだったみたいだし」
刑事「なるほど」

会長の間。
会長「まぁ座ってくれたまえ」
クラッシュと刑事は言う通りに座った。
会長「で、私には何の用で」
クラッシュ「実は・・・あの、まず、長 靖さんをご存知ですか」
会長「あのやな野郎かァァァァ!!!」
刑事「落ち着いて・・」
クラッシュ「その人とはどのような関係で」
会長「敵だ。敵、そう、敵。こっちはアルコホールを勧めると、向こうは撲滅させようとする。ふざけるな!」
クラッシュ「ほう」
刑事「ただの敵・・・と」
会長「な、何だその目は!」
クラッシュ「刑事さん」
刑事「あ、すまん」
クラッシュ「団員とは・・」
会長「団員なんて知ったこっちゃない!あんなヤツら死んじまえ!」


ベーカー街。
刑事「絶対あの会長ですよ」
クラッシュ「いや、あれは外れですね」
刑事「どうしてんな事が・・」
クラッシュ「それはですね、まず殺すとしたら団長を殺すと思いますけど」
刑事「それもそうだな」
クラッシュ「完璧な・・ミスディレクションです」
刑事「ほう・・・・」
クラッシュ「あの、残る二人は確か」
刑事「恩田 輝とノーミー・エステベスだ」
クラッシュ「oとnですか」
刑事「ん?あ、ああ」
クラッシュ「考えられる文は・・」
刑事「文?どういう意味だ」
クラッシュ「つまりです。犯人は都合のいい名前がいるグループを探し、ある文を作ってたと思うんです。それが・・・・」
刑事「もったいぶらないで早く言え」
クラッシュ「Dancing Skeleton。即ち、踊る骸骨です」
刑事「踊る?骸骨が踊るのか?」
クラッシュ「そういう意味ではないでしょう」
刑事「つまり・・・」
クラッシュ「次に殺られるのは恩田さんでしょう」

恩田宅前。
そこにはすでにパトカーや救急車、マスコミで溢れかえっていた。
クラッシュ「遅かったか」
刑事「・・・・あぁ」
クラッシュ「すみませんが刑事さん」
刑事「ん?」
クラッシュ「奥様はいらっしゃいますか?」
刑事「いや、死んだよ」
クラッシュ「そうですか。お悔やみを」
刑事「事故で。そう、事故だ」
クラッシュ「刑事さん、いいです。すみません、嫌なもの思いだせてしまって」
刑事「いいんだ」
クラッシュ「・・・・ワインでも飲みに行きます?」
刑事「酒は嫌いなんだ。ちょっとな、トラウマが」
クラッシュ「そうですか。今日はいったん解散しましょう」
刑事「そうだな」

翌日。
事務所。
クラッシュ「あ・・・・ええ。」
電話中。
クラッシュ「分かりました。ではベーカー街で」

ベーカー街。
刑事「・・・次はノーミーか」
クラッシュ「そうですね・・・あの、奥様は・・」
刑事「飲酒運転していたヤツにひかれて死んだよ・・・・・クソォォ・・・・俺は・・・・任務中で何もしてやれなかった・・・・」
クラッシュ「飲酒運転、ですか」
刑事「あぁ」
クラッシュ「刑事さん、貴方が犯人でしょう?」
刑事「え、何を」
クラッシュ「あなたの奥様は小田 葦に殺された。違います?そこからあなたはアルコホールを嫌うようになった。そして殺人を・・」
刑事「そうだ、その通りだ」
クラッシュ「そんな事しても奥様は喜ばないことは分かってるでしょう?」
刑事「あぁ、んな事は知ってるさ。けど、それがせめて俺が出来る事」
クラッシュ「踊る骸骨は」
刑事「妻が骸骨になっても愛し続けてと言った晩死んだ。そして、彼女は踊りが好きだったんだ」
クラッシュ「連行しましょうか?」
刑事「いや、いづれ自首するつもりだった。最後のコーヒーを飲んでから行くとするよ」
クラッシュ「信じてますよ」
刑事「お前と・・・仕事できて光栄だったよ」
クラッシュ「はい。出所したら・・また仕事しましょう」
刑事「あぁ・・・・・いづれ、な」

踊る骸骨 完

あとがき
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