死はデザートとともに


ボワボワ作業員さん作

フランス。
とあるレストラン。
?「おいクリスティ〜いいのか?んなAコースで」
?「クリスティじゃなくてアガサって呼んでよ。もう何年付き合ってると思ってるの?」
?「あ、ワリーワリィ」
アガサ「言葉に甘えていいかしら、ドイル」
ドイル「あぁ、いいとも」
アガサ「じゃぁ・・・・スペシャルコースを」
ドイル「じゃぁ俺も」
店員「はい、かしこまりました」
店員がはけていく。

数分経って。
前菜。
シーフードマリネ。
アガサ「よかったの?こんな高いコー・・」
ドイル「あったりめーだろ。誕生日に高級レストランに来てるんだから」
アガサ「そっか」
前菜は、とアガサは思った。
酸っぱさか効いてて少なくとも私の人生の中で食べた物の中で一番美味しかったかな。

それから。
メインディッシュ。
牛フィレ肉の赤ワインソース。
ドイル「すっげー」
アガサ「ドイル」
ドイル「あ、御免御免」
アガサ「凄いわね・・・・コレ」
アガサはメインディッシュを指差して言った。
ドイル「あぁ・・・・」

そして。
デザート。
エクスペンシヴ・ミルフィーユ。
の前に。
アガサ「御免、ちょっと私、トイレ行ってくる」
ドイル「あ、ああ」
アガサ「先食べてて。あ、完食はダメよ」
ドイル「わかってる」


トイレ。
アガサ「ふぅ・・・さて、そろそろ戻るか」
アガサはトイレを出た。
ん?
何だろ?
アガサとドイルが座っていた席の周りに凄い野次馬が来ていたのだ。
またミルフィーユを瞬食したとか・・・・・・・
!?
アガサは近づいてって驚いた。
何とドイルは顔を紫色にして死んでいたのだ。

事務所。
電話がさっきから鳴りっぱなしだ。
ぶっきらぼうにクラッシュがやっと電話を取る。
クラッシュ「はぃ」
弱い声。
?「こんにちは、あの、刑事の片山です」
クラッシュ「あら、日本人ですか?」
片山「はい」
クラッシュ「今回はナンですか」
変な声で聞く。
片山「2日ほど前にですね、高級レストランでコナン・ドイル、28歳が毒殺されました」
クラッシュ「そーですか」
片山「フランスの」
クラッシュ「分かってますよ」
クラッシュは続ける。
クラッシュ「パリの新聞の一面をかざってますものね」
片山「知ってるんだったら話が早いな。で、急なのだが・・」
クラッシュ「パリに行けと」
片山「そうだ・・・大丈夫か?」
クラッシュ「ええ。どうせ暇ですし」
そうとだけ告げるとクラッシュは荒々しく電話を切った。

数日後。
パリ。
待ち合わせ場所のエッフェル塔下。
片山「あぁ、クラッシュさんですね」
クラッシュ「あぁ・・・そうだけど」
片山「まず、あの、現場を」
クラッシュ「いえ、あの、アガサさん、でしたっけ」
片山「はい」
クラッシュ「事情調査します」
片山「署まで」

署。
まったく、クラッシュは思った。
なんて汚い所なんだ、ここ。
署、署、署。
漢字だけは立派だけどさ。
片山「探偵さん?」
片山刑事の茶化す声で我に返った。
クラッシュ「何ですか刑事さん?」
クラッシュは言い返した。
片山「アガサ・クリスティさんです」
片山は少しも怯まない。
クラッシュ「書籍は何?ABC殺人事件?」
片山「さて」
無視したな。
片山「宜しくお願いしますよ。コーヒー飲んでますので」
そう言うと片山はコーヒー室に消えた。
クラッシュ「アガサさん」
クラッシュは腰掛けた。
アガサも一緒に腰を掛けた。
クラッシュ「状況を教えて下さい」
アガサ「なッ!状況?私がトイレから出たら・・・彼が死んでいました・・・・それだけです」
クラッシュ「ほぉ」
アガサ「私を疑っているんですか?」
クラッシュ「あの日の料理長はフロストですよ。あの、フロスト」
アガサ「誰です?」
クラッシュ「とぼけない方がいいぞ。元彼だろ。というかアガサさん、彼曰く、貴方はフロストさんと婚約していましたね」
アガサ「う゛っ」
クラッシュ「それをドイルさんに取られた、と」
アガサ「その言い方はやめて下さい」
クラッシュ「保留です、ま、帰っていいです」

数分後。
料理長との会話。
クラッシュ「フロストさん」
フロスト「はい」
クラッシュ「貴方の携帯電話見さしてもらいましたよ」
フロスト「何」
クラッシュ「アガサさんとの通信経歴です」
フロスト「だ、だからなんだ!!」
だからなんだ?
明らかに動揺してるじゃないか。
ま、話を戻すか。
クラッシュ「それと家計簿みたいな・・・やつ」
フロスト「人生簿です」
クラッシュ「・・・・それにメモが」
フロスト「何の話だ!」
クラッシュ「どういう事ですか?『アガサ:毒依頼』って」
フロスト「ぐっ・・・・・・分かった・・・彼女に・・・依頼されたんだ・・・・・コナンを・・・毒殺しろと・・・」
クラッシュ「分かってますよ・・・・貴方は・・逮捕です」
フロスト「・・・・」

片山「じゃぁ・・・もう帰しちゃったんですけど」
クラッシュ「すんでるアパートくらい分かるだろう」
片山「ああ」

アパート。
片山「このアパートは監視が凄いんですよ・・・・ん?」
見ると片山が言った『アガサの部屋』に野次馬が沢山集まっていた。
クラッシュ「自殺か?」
血を見るのは嫌だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう思うとクラッシュの足は勝手に監視室に向かっていたのだった。

監視室。
クラッシュ「で」
片山「はい、他殺のようで・・」
クラッシュ「ああ・・・・」
片山「自殺じゃないみたいだな・・・・あ、そこで止めろ」
片山が部下に指示する。
監視ビデオが止まる。
片山「女・・・・?」
クラッシュ「そうみたいだな・・・・・・・犯人は逃亡・・・・」
片山「ふぅ・・とりあえず今回は保留としましょう。帰国して結構です。また、呼びます」
クラッシュ「分かった。帰りの便を用意してくれ」
そういうとクラッシュはアパートを出て、空港へ向かった。

死はデザートとともに 完

あとがき
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